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平成30年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第2回】「『所得拡大促進税制』の改組(その2:中小企業向け)」

筆者:足立 好幸

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平成30年度税制改正における

『連結納税制度』改正事項の解説

【第2回】

「『所得拡大促進税制』の改組(その2:中小企業向け)」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸

 

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2 所得拡大促進税制(中小企業者向け)

単体納税では、中小企業者(適用除外事業者を除く)に該当する場合に、前回解説した大企業向けの制度を適用する代わりに、中小企業者の所得拡大促進税制を適用することが可能となる(措法42の12の5②)。

ここで、「中小企業者」とは、資本金1億円以下の法人のうち、次に掲げる法人以外の法人をいう(措法42の4③⑧六・六の二、42の12の5②、措令27の4⑫)。

  • 同一の大規模法人(資本金1億円超の法人)に1/2以上の株式を所有されている法人
  • 複数の大規模法人に2/3以上の株式を所有されている法人

また、適用除外事業者とは、平成31年4月1日以後に開始する事業年度において、当事業年度開始日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える法人をいう(措法42の4③⑧六の二)。

一方、連結納税では、連結親法人が中小連結親法人に該当する場合に、大企業向けの制度を適用する代わりに、連結グループ全体で中小企業者の所得拡大促進税制を適用することが可能となる(措法68の15の6②)。

ここで、「中小連結親法人」とは、中小連結法人で適用除外事業者に該当しないもののうち、連結親法人であるものをいう(措法68の15の6②)。

中小連結法人とは、連結親法人が資本金1億円以下の法人(次に掲げる法人を除く)に該当する場合のその連結親法人又はその連結子法人(資本金1億円以下のものに限る)をいう(措法68の9⑧五、措令39の39⑪)。

  • 同一の大規模法人(資本金1億円超の法人)に1/2以上の株式を所有されている法人
  • 複数の大規模法人に2/3以上の株式を所有されている法人

また、適用除外事業者とは、平成31年4月1日以後に開始する連結事業年度において、当連結事業年度開始日前3年以内に終了した各連結事業年度の連結所得の金額の年平均額が15億円を超える連結親法人及び連結子法人をいう(措法68の9⑧五の二)。

中小企業者の所得拡大促進税制は次のとおりである。

-根拠条文-

単体納税
措法42の12の5②

連結納税
措法68の15の6②

-適用期間-

単体納税
平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度

連結納税
平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する連結親法人事業年度

-対象法人-

単体納税
中小企業者※1(適用除外事業者※1を除く)で、青色申告書を提出する法人

※1 中小企業者及び適用除外事業者の定義は、上記を参照。

連結納税
連結親法人が中小連結親法人(中小連結法人で適用除外事業者に該当しないもの)※1に該当する場合の連結法人のすべて

※1 中小連結親法人の定義は、上記を参照。

-適用要件-

単体納税

次に掲げる要件を満たす場合。

① 賃上げ要件1

雇用者給与等支給額>比較雇用者給与等支給額

② 賃上げ要件2 ※2

※2 継続雇用者比較給与等支給額が0の場合、要件は満たさない(措令27の12の5㉒二)。

連結納税

次に掲げる要件を満たす場合。

① 賃上げ要件1

各連結法人の雇用者給与等支給額の合計額>各連結法人の比較雇用者給与等支給額の合計額

② 賃上げ要件2 ※2

※2 継続雇用者比較給与等支給額の合計額が0の場合、要件は満たさない(措令39の47㉓)。

-税額控除限度額-

単体納税

(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×15%

ただし、次の①②の要件を満たした場合は、25%が税額控除割合となる。

① 賃上げ要件3 ※3

※3 継続雇用者比較給与等支給額が0の場合、要件は満たさない(措令27の12の5㉒一)。

② 教育訓練費要件又は中小企業等経営強化法の認定要件

次のいずれかの要件。

(ⅰ) 教育訓練費要件 ※5

※4 中小企業比較教育訓練費の額とは、適用年度開始日前1年以内に開始した各事業年度に損金算入される教育訓練費の額の1事業年度当たりの平均額をいう(措法42の12の5③十二)。

※5 中小企業比較教育訓練費の額が0の場合、教育訓練費の額が0でない場合は要件を満たし、教育訓練費の額が0の場合は要件を満たさない(措令27の12の5㉓㉔)。

(ⅱ) 中小企業等経営強化法の認定要件
中小企業等経営強化法に基づく経営力認定計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われたことにつき証明されたこと(措規20の10①)。

連結納税

(各連結法人の雇用者給与等支給額の合計額-各連結法人の比較雇用者給与等支給額の合計額)×15%

ただし、次の①②の要件を満たした場合は、25%が税額控除割合となる。

① 賃上げ要件3 ※3

※3 継続雇用者比較給与等支給額の合計額が0の場合、要件は満たさない(措令39の47㉓)。

② 教育訓練費要件又は中小企業等経営強化法の認定要件

次のいずれかの要件。

(ⅰ) 教育訓練費要件 ※5

※4 中小連結法人比較教育訓練費の額の定義は、単体納税の「中小企業比較教育訓練費の額」と同様になる(措法68の15の6③十一)。

※5 中小連結法人比較教育訓練費の額の合計額が0の場合、教育訓練費の額の合計額が0でない場合は要件を満たし、教育訓練費の額の合計額が0の場合は要件を満たさない(措令39の47㉔㉕)。

(ⅱ) 中小企業等経営強化法の認定要件
中小連結親法人が、中小企業等経営強化法に基づく経営力認定計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われたことにつき証明されたこと(措規22の34①)。
この点、連結親法人が認定を受け、証明される必要がある点に注意が必要である。

-控除限度となる法人税額基準額-

単体納税

調整前法人税額×20%

連結納税

調整前連結法人税額×20%

-繰越控除-

単体納税
限度超過額の繰越制度はない。

連結納税
限度超過額の繰越制度はない。

-税額控除額の個別帰属額の計算方法-

連結納税
連結納税における所得拡大促進税制(中小企業者向け)の税額控除額の個別帰属額の計算方法を示すと次のとおりとなる(措法68の9⑬二・五、68の15の6⑦、措令39の47㉗)。

-地方法人税における税額控除-

単体納税
法人税における所得拡大促進税制(中小企業者向け)の税額控除額は、地方法人税の課税標準となる基準法人税額の計算において、法人税額から控除される(地方法法6一)。

連結納税
法人税における所得拡大促進税制(中小企業者向け)の税額控除額は、地方法人税の課税標準となる基準法人税額の計算において、連結法人税額から控除される(地方法法6三)。
この場合、各連結法人の所得拡大促進税制(中小企業者向け)の税額控除額の個別帰属額に地方法人税率(4.4%又は10.3%)を乗じた金額が地方法人税個別帰属額の計算において減算される(措法68の15の6⑦、68の9⑬五、地方法15①)。

-住民税における税額控除-

単体納税
中小企業者(適用除外事業者を除く)に該当する場合、法人税における所得拡大促進税制(中小企業者向け)の税額控除額は、法人税額(住民税の課税標準)から控除される(地法附則8⑬、地法23①四、292①四)。

連結納税
連結親法人が中小連結親法人に該当する場合、法人税における所得拡大促進税制(中小企業者向け)の税額控除額の個別帰属額は、調整前個別帰属法人税額(住民税の課税標準)から控除される(連結法人税個別帰属額に加算しない。地法附則8⑭、地法23①四の三、292①四の三)。

 

〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
法規・・・法人税法施行規則
地方法法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
措規・・・租税特別措置法施行規則
国通・・・国税通則法
平成30年所法等改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)
(例)法法34①二・・・法人税法34条1項2号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 

▷平成31年度税制改正(全8回)

▷平成30年度税制改正(全9回)

▷平成29年度税制改正(全9回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

はじめに

[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

1 改正内容

2 『自己創設営業権』の評価問題が解消!

3 連結納税開始日・加入日が平成29年10月1日の場合は旧税制が適用に!

4 どうせ時価課税されるなら、合併で時価譲渡になる方がいいのか、スクイーズアウトで時価評価される方がいいのか?(時価課税の有利・不利)

【第2回】 スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

[2] スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

1 改正内容

2 連結納税の不利益を受けずに少数株主排除が可能に!

3 連結納税開始日が平成29年10月1日以後であっても、株式交換等が平成29年9月30日以前に行われた場合は旧税制が適用される!

4 全部取得条項付種類株式方式又は株式併合方式により連結納税に加入した場合、「完全支配関係を有することとなった日」はいつになるのか?

【第3回】 研究開発税制の見直し

[3] 研究開発税制の見直し

【第4回】 所得拡大促進税制の見直し他

[4] 所得拡大促進税制の見直し

[5] 役員給与等の見直し

[6] 地域未来投資促進税制の創設

【第5回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)

[7] 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充

1 中小企業経営強化税制の創設

【第6回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その2)

2 中小企業投資促進税制の見直しと適用期限の延長

3 商業・サービス業活性化税制の適用期限の延長

【第7回】 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限、災害特例措置

[8] 震災・災害に関する税制措置の整備

[9] 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限

【第8回】 連結法人の申告期限の延長の見直し

[10] 連結法人の申告期限の延長の見直し

1 法人税の申告期限の延長について

2 事業税の申告期限の延長について

【第9回】 地方税率の改正時期の変更他

[11] 地方税率の改正時期の変更

[12] 組織再編税制に係る改正

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

▷平成28年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率等の改正

~はじめに~

[1] 連結法人税、連結地方法人税、住民税、事業税の税率の改正

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し

[2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し

[3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[4] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第3回】 減価償却制度の見直し

[5] 減価償却制度の見直し

【第4回】 役員給与の見直し

[6] 役員給与の見直し

【第5回】 雇用促進税制の見直し

[7] 雇用促進税制の見直し

【第6回】 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

[8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【第7回】 組織再編関連税制の見直し

[9] 適格現物出資の見直し

[10] 組織再編税制の見直し

【第8回】 移転価格文書化制度(その1)

[11] 移転価格文書化制度

1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度

(1) 国別報告書

【第9回】 移転価格文書化制度(その2)

(2) マスターファイル(事業概況報告事項)

【第10回】 移転価格文書化制度(その3)

(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)

2 国外事業所等との内部取引に係る移転価格文書化制度

【第11回】 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

【第12回】 その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置

[13] 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)の見直し

[14] 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

[15] 機械装置の固定資産税の特例措置の創設

▷平成27年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率の引下げ

~はじめに~

[1] 連結法人税率の引下げ

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)

[2] 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げ

(1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引き下げ

(2) 連結所得金額の100%を控除限度額とする特例

① 中小法人等

② 経営再建中の法人

【第3回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その2)

③ 新設法人

【第4回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その3)

[3] 連結欠損金の繰越期間の延長

[4] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[5] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第5回】 受取配当等の益金不算入制度の見直し

[6] 連結納税適用法人に係る受取配当等の益金不算入制度の見直し

【第6回】 研究開発税制の見直し

[7] 連結納税適用法人に係る研究開発税制の見直し

【第7回】 地方拠点強化税制の創設(その1)

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

(1) 改正の概要

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置

【第8回】 地方拠点強化税制の創設(その2)

(3) 雇用促進税制の拡充

【第9回】 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

[9] 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

【第10回】 所得拡大促進税制・その他の租税特別措置法上の見直し

[10] 連結納税適用法人に係る所得拡大促進税制の見直し

[11] その他の租税特別措置法上の見直し

【第11回】 事業税の改正

[12] 連結納税適用法人に係る事業税の改正

【第12回】 国際税務の改正

[13] 連結納税適用法人に係る国際税務の改正

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