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平成31年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第5回】「中小企業者向け租税特別措置における大企業の範囲の見直し」

筆者:足立 好幸

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平成31年度税制改正における

『連結納税制度』改正事項の解説

【第5回】

「中小企業者向け租税特別措置における大企業の範囲の見直し」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸

 

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[2] 中小企業者向け租税特別措置における大企業の範囲の見直し

租税特別措置法では、中小企業者向け租税特別措置が設けられている。

例えば、研究開発税制や所得拡大促進税制について、中小企業者向けの措置は、適用要件が緩和され、税額控除額も拡大される。また、中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス業活性化税制等については中小企業者のみに適用される。

また、連結納税では、連結親法人が中小企業者(連結納税の場合、「中小連結法人」という)に該当する場合に、連結グループ全体で中小企業者向けの研究開発税制や所得拡大促進税制を適用することが可能となり、中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス業活性化税制等については「中小連結法人」に該当する連結法人のみに適用される。

この中小企業者(連結納税の場合は、「中小連結法人」)の範囲について、みなし大企業の判定において、大規模法人に次の法人を加えるとともに、その判定対象となる法人の発行済株式から自己株式を除外することになった。

(ハ) 大法人(資本金の額が5億円以上である法人)の100%子法人

(ニ) 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式(自己株式等を除く)の全部を保有されている法人

平成31年4月1日以後に開始する事業年度又は連結事業年度に適用される単体納税の中小企業者又は連結納税の中小連結法人の範囲は、それぞれ以下のとおりとなる(平成31年所法等改正法附則1、48)(注)

(注) 「一定の事業承継ファンドを通じて出資している中小企業基盤整備機構を大規模法人から除外する」という改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度又は連結事業年度から適用される(平成31年所法等改正法附則1、49、66)。

なお、住民税の中小企業者向けの租税特別措置におけるみなし大企業の判定についても同様の措置となる。

 

1 単体納税における中小企業者の範囲

中小企業者とは、次に掲げる法人をいう(措法42の4⑧七、42の6①、措令27の4⑫、27の6①)。

資本金の額が1億円以下の法人

ただし、次に掲げる法人を除く。

(一) 同一の大規模法人に発行済株式(自己株式を除く)の1/2以上を所有されている法人

(二) 複数の大規模法人に発行済株式(自己株式を除く)の2/3以上を所有されている法人

また、「大規模法人」とは以下の法人をいう。

(イ) 資本金の額が1億円を超える法人

(ロ) 資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

(ハ) 大法人(資本金の額が5億円以上である法人)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人 ← 平成31年度税制改正で追加

(ニ) 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において、当該いずれか一の法人と当該普通法人との間に当該いずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人 ← 平成31年度税制改正で追加

なお、大規模法人から中小企業投資育成株式会社(中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス業活性化税制、被災代替資産等の特別償却、中小企業防災・減災投資促進税制の場合は、「中小企業投資育成株式会社」及び「一定の事業承継ファンドを通じて出資している中小企業基盤整備機構」)は除かれる(措令27の4⑫、27の6①)。

資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

なお、中小企業者に該当する場合でも、適用除外事業者(平成31年4月1日以後に開始する事業年度において、当事業年度開始日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える法人)は、中小企業者に係る各租税特別措置は適用できない(措法42の4⑧八)。

[ケース1] 親法人の資本金が1億円以下のケース(単体納税)

[ケース2] 親法人の資本金が1億円超のケース(単体納税)

[ケース3] 親法人の資本金が5億円以上のケース1(単体納税)

[ケース4] 親法人の資本金が5億円以上のケース2(単体納税)

 

2 連結納税における中小連結法人の範囲

連結納税では、連結親法人が中小連結親法人に該当する場合に、連結納税グループ全体で中小企業者向けの研究開発税制や所得拡大促進税制を適用することが可能となる(措法68の9④、68の15の6②)。

また、中小企業者向けの設備投資促進税制は、各連結法人ごとに、連結親法人又は連結子法人で中小連結法人に該当するものに適用される(措法68の11、68の15の5、68の15の4)。

(1) 「中小連結親法人」とは

「中小連結親法人」とは、中小連結法人で適用除外事業者に該当しないもの又は農業協同組合等のうち、連結親法人であるものをいう(措法68の9④、68の15の6②)。

なお、適用除外事業者とは、平成31年4月1日以後に開始する連結事業年度において、当連結事業年度開始日前3年以内に終了した各連結事業年度の連結所得の金額の年平均額が15億円を超える連結親法人及び連結子法人をいう(措法68の9⑧七)。

(2) 「中小連結法人」とは

「中小連結法人」とは、連結親法人が次に掲げる法人である場合のその連結親法人又はその連結子法人(資本金1億円以下のものに限る)をいう(措法68の9⑧六、68の11①、措令39の39⑪、39の41①)。

資本金の額が1億円以下の法人

ただし、次に掲げる法人を除く。

(一) 同一の大規模法人に発行済株式(自己株式を除く)の1/2以上を所有されている法人

(二) 複数の大規模法人に発行済株式(自己株式を除く)の2/3以上を所有されている法人

また、「大規模法人」とは以下の法人をいう。

(イ) 資本金の額が1億円を超える法人

(ロ) 資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

(ハ) 大法人(資本金の額が5億円以上である法人)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人 ← 平成31年度税制改正で追加

(ニ) 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において、当該いずれか一の法人と当該普通法人との間に当該いずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人 平成31年度税制改正で追加

なお、大規模法人から中小企業投資育成株式会社(中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス業活性化税制、被災代替資産等の特別償却、中小企業防災・減災投資促進税制の場合は、「中小企業投資育成株式会社」及び「一定の事業承継ファンドを通じて出資している中小企業基盤整備機構」)は除かれる(措令39の39⑪、39の41①)。

資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

なお、中小連結法人に該当する場合でも、適用除外事業者は、中小企業者向けの設備投資促進税制は適用できない(措法68の9⑧七)。

[ケース5] 連結親法人の資本金が1億円以下のケース(連結納税)

なお、研究開発税制及び所得拡大促進税制は、連結親法人が中小連結親法人(中小連結法人で適用除外事業者に該当しないもののうち、連結親法人であるもの)に該当する場合に、連結納税グループ全体で中小企業者向けの措置を適用できる。

一方、中小企業者向けの設備投資促進税制は、各連結法人ごとに、連結親法人又は連結子法人で中小連結法人に該当するものに適用される。以下、同じ。

[ケース6] 連結親法人の資本金が1億円超のケース(連結納税)

[ケース7] 連結親法人の資本金が5億円以上のケース(連結納税)

[ケース8] 連結親法人が資本金1億円以下の法人の子会社のケース(連結納税)

[ケース9] 連結親法人が大規模法人(資本金1億円超の法人)の子会社のケース(連結納税)

[ケース10] 連結親法人が外国法人(資本金5億円以上の法人)の孫会社のケース(連結納税)

 

〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
地方法法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
平成31年所法等改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)
(例)法法57⑪三・・・法人税法57条11項3号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 

▷平成31年度税制改正(全8回)

▷平成30年度税制改正(全9回)

▷平成29年度税制改正(全9回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

はじめに

[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

1 改正内容

2 『自己創設営業権』の評価問題が解消!

3 連結納税開始日・加入日が平成29年10月1日の場合は旧税制が適用に!

4 どうせ時価課税されるなら、合併で時価譲渡になる方がいいのか、スクイーズアウトで時価評価される方がいいのか?(時価課税の有利・不利)

【第2回】 スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

[2] スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

1 改正内容

2 連結納税の不利益を受けずに少数株主排除が可能に!

3 連結納税開始日が平成29年10月1日以後であっても、株式交換等が平成29年9月30日以前に行われた場合は旧税制が適用される!

4 全部取得条項付種類株式方式又は株式併合方式により連結納税に加入した場合、「完全支配関係を有することとなった日」はいつになるのか?

【第3回】 研究開発税制の見直し

[3] 研究開発税制の見直し

【第4回】 所得拡大促進税制の見直し他

[4] 所得拡大促進税制の見直し

[5] 役員給与等の見直し

[6] 地域未来投資促進税制の創設

【第5回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)

[7] 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充

1 中小企業経営強化税制の創設

【第6回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その2)

2 中小企業投資促進税制の見直しと適用期限の延長

3 商業・サービス業活性化税制の適用期限の延長

【第7回】 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限、災害特例措置

[8] 震災・災害に関する税制措置の整備

[9] 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限

【第8回】 連結法人の申告期限の延長の見直し

[10] 連結法人の申告期限の延長の見直し

1 法人税の申告期限の延長について

2 事業税の申告期限の延長について

【第9回】 地方税率の改正時期の変更他

[11] 地方税率の改正時期の変更

[12] 組織再編税制に係る改正

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

▷平成28年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率等の改正

~はじめに~

[1] 連結法人税、連結地方法人税、住民税、事業税の税率の改正

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し

[2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し

[3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[4] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第3回】 減価償却制度の見直し

[5] 減価償却制度の見直し

【第4回】 役員給与の見直し

[6] 役員給与の見直し

【第5回】 雇用促進税制の見直し

[7] 雇用促進税制の見直し

【第6回】 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

[8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【第7回】 組織再編関連税制の見直し

[9] 適格現物出資の見直し

[10] 組織再編税制の見直し

【第8回】 移転価格文書化制度(その1)

[11] 移転価格文書化制度

1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度

(1) 国別報告書

【第9回】 移転価格文書化制度(その2)

(2) マスターファイル(事業概況報告事項)

【第10回】 移転価格文書化制度(その3)

(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)

2 国外事業所等との内部取引に係る移転価格文書化制度

【第11回】 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

【第12回】 その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置

[13] 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)の見直し

[14] 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

[15] 機械装置の固定資産税の特例措置の創設

▷平成27年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率の引下げ

~はじめに~

[1] 連結法人税率の引下げ

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)

[2] 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げ

(1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引き下げ

(2) 連結所得金額の100%を控除限度額とする特例

① 中小法人等

② 経営再建中の法人

【第3回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その2)

③ 新設法人

【第4回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その3)

[3] 連結欠損金の繰越期間の延長

[4] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[5] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第5回】 受取配当等の益金不算入制度の見直し

[6] 連結納税適用法人に係る受取配当等の益金不算入制度の見直し

【第6回】 研究開発税制の見直し

[7] 連結納税適用法人に係る研究開発税制の見直し

【第7回】 地方拠点強化税制の創設(その1)

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

(1) 改正の概要

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置

【第8回】 地方拠点強化税制の創設(その2)

(3) 雇用促進税制の拡充

【第9回】 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

[9] 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

【第10回】 所得拡大促進税制・その他の租税特別措置法上の見直し

[10] 連結納税適用法人に係る所得拡大促進税制の見直し

[11] その他の租税特別措置法上の見直し

【第11回】 事業税の改正

[12] 連結納税適用法人に係る事業税の改正

【第12回】 国際税務の改正

[13] 連結納税適用法人に係る国際税務の改正

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