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平成30年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第8回】「連結納税における『電子申告の義務化』と実務上の留意点(その2)」

筆者:足立 好幸

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平成30年度税制改正における

『連結納税制度』改正事項の解説

【第8回】

「連結納税における『電子申告の義務化』と実務上の留意点(その2)」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸

 

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〈5〉

連結納税を電子申告で行う場合、連結子法人は『連結子法人の個別帰属額等の届出書』(添付書類を含む)の提出をしなくてもよい。

連結親法人が電子申告を行った場合に、『連結子法人の個別帰属額等の届出書』(添付書類を含む)をe-Taxを使用する方法又は光ディスク等を提出する方法により当該連結親法人の納税地の所轄税務署長に提出した場合には、連結子法人が『連結子法人の個別帰属額等の届出書』(添付書類を含む)を当該連結子法人の所轄税務署に提出したものとみなし、連結子法人による提出を不要とする(法法81の25②、法規37の17②)。

この場合、『連結子法人の個別帰属額等の届出書』の記載事項のうち連結子法人の法人番号及び添付書類のうち連結子法人の会社事業概況書(又は法人事業概況説明書。以下、「会社事業概況書」とする)は、連結確定申告書の記載事項及びその添付書類とはなっていないため、連結親法人は電子申告に際し、各連結子法人の法人番号及び各連結子法人の会社事業概況書を提供する必要がある。

なお、法人の選択による電子申告の場合、添付書類を書面で送付することも可能であるが、添付書類を書面で提出した場合は、この提出省略の措置は適用されない。

また、この取扱いは、連結親法人が連結納税に係る修正申告書をe-Taxによる電子申告で提出した場合についても同様となる(法法81の25④)。

なお、資本金が1億円以下の連結親法人が書面申告を選択した場合、連結子法人は改正前と同じように自社で『連結子法人の個別帰属額等の届出書』(添付書類、会社事業概況書を含む)を所轄税務署に提出する必要がある。

【連結法人に係る個別帰属額等の届出書の提出先の一元化】

(出典) e-Taxホームページ「大法人の電子申告の義務化の概要について『2 電子申告の義務化に伴い導入する利便性向上施策等』」

〈6〉

連結納税システムについて、正確性・迅速性・効率性が確保された電子申告を実現できるシステムを使用することが重要となる。

特に、e-Tax又はeLTAXでの提出において、システムからe-Tax又はeLTAXに申告データを直接流し込む方式を取っている連結納税システムは問題ないが、システムで作成した申告データをいったんCSV形式へ変換し、それをe-Tax又はeLTAXに流し込む方式を取っている連結納税システムについては、流し込む際にエラーチェックを行わなければならないこと、複数の地方公共団体へ提出が必要な場合、1つの地方公共団体ごとに提出作業をしないといけないことから大きな事務負担が生じることが予想される。

〈7〉

連結子法人は連結納税の承認申請・加入・離脱に係る届出書の提出をしなくてよい(旧法令14の7①④、法令14の7③、14の9②)。

連結納税を開始する場合、連結納税に加入する場合、連結納税から離脱する場合、連結親法人は、『連結納税の承認の申請書』、『完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類』、『連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類』を提出する必要がある(法法4の3①、法令14の7③、14の9②)。

また、改正前の現行制度では、連結子法人についても『連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書』、『完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類』、『連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類』を提出する必要がある(旧法令14の7①④、14の9②)。

それが、改正後は、連結子法人について、『連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書』、『完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類』、『連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類』の提出が不要となる(法令14の7③、14の9②)。

ただし、改正後も、地方税については、改正前と同様、各連結法人ごとに、各地方公共団体に『法人税に係る連結納税の承認等の届出書』の提出をする必要がある(ただし、その添付書類となっていた連結子法人の法人税に係る届出書の写しはなくなることになる)。

なお、従来から「完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類」及び「連結納税への加入時期の特例を適用する旨を記載した書類」として利用されていた『完全支配関係を有することとなった旨等を記載した書類』は、平成30年6月29日付で新様式『完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類及び連結納税への加入時期の特例を適用する旨を記載した書類』に改められている。

 連結子法人の加入時期の特例規定(完全支配関係発生日の前日の属する月次決算期間の末日の翌日に連結納税に加入したものとみなす取扱い)を適用する場合、その特例が適用されない場合の完全支配関係発生日の前日の属する事業年度に係る確定申告書の提出期限までに、『連結納税への加入時期の特例を適用する旨を記載した書類』を提出する必要がある(法法14②)。

以上をまとめると次のとおりとなる。

【改正前】連結納税の電子申告又は書面申告を行うケース

【改正後】連結納税の電子申告を行うケース

【改正後】連結納税の書面申告を行うケース

【今後の改正動向の注意点】

控除対象個別帰属調整額に係る添付書類の提出について、電子申告における提出方法又は電子申告を行った場合にその提出を不要とする措置は、現時点の改正法では定められていないため、今後の改正の有無に注意する必要がある。

連結適用前欠損金額が生じた事業年度後最初の連結事業年度について、控除対象個別帰属調整額がある場合には、第6号様式別表2「控除対象個別帰属調整額の控除明細書」とともに、以下の連結法人税確定申告書の別表の写しを地方公共団体に提出する必要がある。

この提出がない場合には、以後の連結事業年度又は事業年度において、控除対象個別帰属調整額を個別帰属法人税額又は法人税額から控除することはできない(地法53⑧、321の8⑧)。

  • 別表7(1)「欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書」
    ⇒最初の連結事業年度の直前の事業年度のもの
  • 別表7の2「連結欠損金等の損金算入に関する明細書」
    ⇒連結親法人が提出した、当該連結事業年度のもの
  • 別表7の2付表2「連結欠損金当期控除前の連結欠損金個別帰属額の調整計算に関する明細書」
    ⇒連結親法人が提出した、当該連結事業年度のもの
  • 別表4の2「連結所得の金額の計算に関する明細書」
    ⇒連結親法人が提出した、当該連結事業年度のもの。連結欠損金がなく、連結親法人が当該連結事業年度について別表7の2を作成していない場合に、別表7の2及び別表7の2付表2に代えて添付する。

この控除対象個別帰属調整額に係る添付書類の提出について、電子申告における提出方法又は電子申告を行った場合にその提出を不要とする措置は、現時点の改正法では定められていない。

ただし、電子申告の義務化によって、国税と地方税の提出先の一元化が図られることになるが(例えば、事業税の申告に財務諸表の添付が不要になる)、仮に、今後、法人税の確定申告書の別表等について、税務署から地方公共団体に自動的に転送されることになった場合、控除対象個別帰属調整額に係る添付書類の提出が不要になるのか、今後の改正の有無に注意する必要がある。

また、地方税では、申告内容確認のため、地方公共団体から次の別表等の写しの提出を依頼される場合がある。

  • 各連結事業年度の連結法人税の個別帰属額の届出書
  • 別表4の2付表「個別所得の金額の計算に関する明細書」
  • 別表5の2(1)付表1「連結個別利益積立金額及び連結個別資本金等の額の計算に関する明細書」

これらについても、電子申告の義務化にあたってその提出が不要になるのか、今後の改正の有無に注意する必要がある。

〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
法規・・・法人税法施行規則
地方法法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
措規・・・租税特別措置法施行規則
国通・・・国税通則法
平成30年所法等改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)
(例)法法34①二・・・法人税法34条1項2号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 

▷平成31年度税制改正(全8回)

▷平成30年度税制改正(全9回)

▷平成29年度税制改正(全9回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

はじめに

[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

1 改正内容

2 『自己創設営業権』の評価問題が解消!

3 連結納税開始日・加入日が平成29年10月1日の場合は旧税制が適用に!

4 どうせ時価課税されるなら、合併で時価譲渡になる方がいいのか、スクイーズアウトで時価評価される方がいいのか?(時価課税の有利・不利)

【第2回】 スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

[2] スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

1 改正内容

2 連結納税の不利益を受けずに少数株主排除が可能に!

3 連結納税開始日が平成29年10月1日以後であっても、株式交換等が平成29年9月30日以前に行われた場合は旧税制が適用される!

4 全部取得条項付種類株式方式又は株式併合方式により連結納税に加入した場合、「完全支配関係を有することとなった日」はいつになるのか?

【第3回】 研究開発税制の見直し

[3] 研究開発税制の見直し

【第4回】 所得拡大促進税制の見直し他

[4] 所得拡大促進税制の見直し

[5] 役員給与等の見直し

[6] 地域未来投資促進税制の創設

【第5回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)

[7] 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充

1 中小企業経営強化税制の創設

【第6回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その2)

2 中小企業投資促進税制の見直しと適用期限の延長

3 商業・サービス業活性化税制の適用期限の延長

【第7回】 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限、災害特例措置

[8] 震災・災害に関する税制措置の整備

[9] 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限

【第8回】 連結法人の申告期限の延長の見直し

[10] 連結法人の申告期限の延長の見直し

1 法人税の申告期限の延長について

2 事業税の申告期限の延長について

【第9回】 地方税率の改正時期の変更他

[11] 地方税率の改正時期の変更

[12] 組織再編税制に係る改正

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

▷平成28年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率等の改正

~はじめに~

[1] 連結法人税、連結地方法人税、住民税、事業税の税率の改正

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し

[2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し

[3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[4] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第3回】 減価償却制度の見直し

[5] 減価償却制度の見直し

【第4回】 役員給与の見直し

[6] 役員給与の見直し

【第5回】 雇用促進税制の見直し

[7] 雇用促進税制の見直し

【第6回】 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

[8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【第7回】 組織再編関連税制の見直し

[9] 適格現物出資の見直し

[10] 組織再編税制の見直し

【第8回】 移転価格文書化制度(その1)

[11] 移転価格文書化制度

1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度

(1) 国別報告書

【第9回】 移転価格文書化制度(その2)

(2) マスターファイル(事業概況報告事項)

【第10回】 移転価格文書化制度(その3)

(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)

2 国外事業所等との内部取引に係る移転価格文書化制度

【第11回】 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

【第12回】 その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置

[13] 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)の見直し

[14] 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

[15] 機械装置の固定資産税の特例措置の創設

▷平成27年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率の引下げ

~はじめに~

[1] 連結法人税率の引下げ

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)

[2] 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げ

(1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引き下げ

(2) 連結所得金額の100%を控除限度額とする特例

① 中小法人等

② 経営再建中の法人

【第3回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その2)

③ 新設法人

【第4回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その3)

[3] 連結欠損金の繰越期間の延長

[4] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[5] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第5回】 受取配当等の益金不算入制度の見直し

[6] 連結納税適用法人に係る受取配当等の益金不算入制度の見直し

【第6回】 研究開発税制の見直し

[7] 連結納税適用法人に係る研究開発税制の見直し

【第7回】 地方拠点強化税制の創設(その1)

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

(1) 改正の概要

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置

【第8回】 地方拠点強化税制の創設(その2)

(3) 雇用促進税制の拡充

【第9回】 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

[9] 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

【第10回】 所得拡大促進税制・その他の租税特別措置法上の見直し

[10] 連結納税適用法人に係る所得拡大促進税制の見直し

[11] その他の租税特別措置法上の見直し

【第11回】 事業税の改正

[12] 連結納税適用法人に係る事業税の改正

【第12回】 国際税務の改正

[13] 連結納税適用法人に係る国際税務の改正

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