空き家をめぐる法律問題
【事例7】
「空き家を『相続させる』旨の遺言と放棄の可否」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
父の遺品を整理していたところ、遺言書が見つかりました。遺言書には、長男である私に実家を相続させると記載されていました。父は、死亡するまでの数年間、施設で生活をしておりましたので、実家は空き家の状態となっていました。
父の相続人は私と弟ですが、私は遠方に居住しており、築年数も古い空き家を相続したくありません。弟も実家は要らないと以前言っているのを聞きました。私は、実家を除く現預金などの他の相続財産については相続したいのですが、どうすればよいでしょうか。
1 はじめに
相続が発生した場合、被相続人の遺言がなければ、共同相続人間で遺産分割協議をして、その帰属などを決めていくことになるが、被相続人が遺言を作成している場合は、基本的には、遺言に沿って相続手続を進めていくことになる。ただし、遺言の内容が相続人の希望に反する内容である場合には、相続発生後に、共同相続人間で争いになることが少なからずある。
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