空き家をめぐる法律問題
【事例9】
「空き家の相続登記に関する問題」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
高齢の父親が生前に居住していた実家は、現在、空き家となっています。父親の共同相続人である私を含む5人の兄妹間では、実家の遺産分割協議は行われておらず、父親の登記名義のままにして実家を物置として利用しています。
このような状態には、現在又は将来においてどのような法的問題がありますか(なお、本事例においては、相続税の問題は生じないものとする)。
1 はじめに
一般に、不動産の所有者の相続が開始した場合、遺産分割協議等を経て相続登記(所有権の移転登記)が行われることとなる。しかしながら、近時、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加しており、これが所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっている旨指摘されている。このような問題に対応するために、法務省では、平成29年5月29日から、「法定相続情報証明制度」を開始するなど相続登記の促進に向けた取組みを実施している。
このように、相続登記は、空き家問題等と密接に関係することから、今回は、共同相続と相続登記の問題について若干の説明をすることとしたい。
2 相続登記が行われない理由とその弊害
相続登記が行われない大きな理由は、相続登記が共同相続人の義務ではないからである。雑駁な言い方をすれば、相続登記を含む権利登記は、第三者に対する対抗要件であって、登記をするか否かは権利者の判断に委ねられているということである。
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