空き家をめぐる法律問題
【事例13】
「土地の所有者が借地上の建物を取り壊す場合の方法」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
私は、父から相続した土地を所有しています。その土地は、祖父の代に「A」という方が借りており、数年前まで「B」という方が住んでいたと父から聞いていました。現在、借地上の建物は「A」名義で登記されたままであり、物置として利用されているようです。
ある日、私の自宅に、その土地の所在する市役所から空き家特措法に基づく助言の通知が届きました。借地上の建物は、昨今の風水害で倒壊のおそれがある状態となっているようです。私には、その土地を使用する予定はなく、建物の倒壊の危険もあるので、土地を更地にしておきたいと考えています。どのような方法が考えられますか。
1 はじめに
大都市や地方に限らず、借地上の建物の所有者が不明又は行方不明になっている事案が一定数存在する。このうち、借地上の建物が保安上の危険な状態になっているような事案においては、土地の所有者は、建物に対する管理等の権限を有していないため、民法上の事務管理(民法697条)として応急処置をするような場合を除いて建物を取り壊すことはできない。
また、市町村長には、空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家特措法」という)上、特定空家等の所有者等に対し、除却等の措置を命じる権限が与えられたが、建物に対する管理等の権限を有していない土地の所有者に対して、建物の除却命令までは出すことはできない。
このような建物を放置することは、周囲への危険が増大するだけでなく、不動産の利活用という観点からも妥当ではない。
そこで今回は、保安上危険な状態になっている建物が借地上に存在する場合に、土地の所有者が更地にするために建物の取壊しを求めていく方法について検討することとしたい。
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