M&Aに必要な
デューデリジェンスの基本と実務
-法務編-
弁護士法人ほくと総合法律事務所
弁護士 高橋 康平
《第8章》
-改正民法とM&A契約の関係-
【第9回】
「改正民法とM&A契約の関係」
1 はじめに
法務編【第8回】の冒頭で記載したとおり、法務デューデリジェンスの目的は、M&Aの取引実行可否を判断するために、対象会社に関する法的問題点(Legal Risk)全般を洗い出すことにある。
そして、法務デューデリジェンスの結果を踏まえて、買主側が取引を実行するという判断に至った場合、法務デューデリジェンスを担当した弁護士は、往々にしてM&A契約(株式譲渡、事業譲渡等)のドラフティングを依頼されることがある。そのため、法務デューデリジェンスを担当する弁護士は、法務デューデリジェンスを進める過程においても、M&Aストラクチャーの選択や契約条件などを意識することが有用であることも既述のとおりである。
言い換えれば、法務デューデリジェンスの究極目標は、発見された法的問題点(Legal Risk)等(法的問題点に限らず、財務デューデリジェンスやビジネスデューデリジェンスの結果、発見された問題点も含む)をM&A契約においていかに低減させ、成功に導くかという観点が重要であるということになろう。それを達成するツールが「M&A契約」であり、そういう意味では契約が最も重要ともいえる。
一方で、ご存知のとおり、民法のうち債権関係の規定を改正する民法の一部を改正する法律(以下「改正民法」という)が、平成29年6月2日に公布され、令和2年(2020年)4月1日から施行される。そのため、M&A契約における主要な条項のうちいくつかも、改正民法の影響を受けることになる。
本項では、改正民法とM&A契約の関係について、ポイントを絞ってご紹介する。
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