谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第2回】
「租税立法の違憲審査基準」
-大嶋訴訟・最[大]判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
今回は、大嶋訴訟・最[大]判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)欄外番号【14】~【20】。以下、見出しでは「大嶋訴訟大法廷判決」といい、本文では「本判決」という)を取り上げる。
本判決については、わが国の税法判例のうち最も重要な基本判例の1つであることに異論がないと思われるが(判例評釈集として定評のある租税判例百選[第6版・2016年]でも本判決に関する金子宏「判批」が冒頭に掲載されている)、筆者は本判決を、税法の解釈適用においても実質主義との相克(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」【第6回】以下参照)を経て租税法律主義を重視する傾向が強まってきた時期に位置づけ、次のように述べたことがある(拙稿「租税回避と税法の解釈適用方法論-税法の目的論的解釈の『過形成』を中心に-」岡村忠生編著『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)1頁、5頁注17)。
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