谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第23回】
「租税回避の個別的否認規定と個別分野別一般的否認規定との適用関係」
-ヤフー事件最判による「重畳的」適用とTPR事件東京高判による制定法踰越的法創造-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前回は異なる個別分野別一般的否認規定(法税132条1項と132条の2)の不当性要件について統一的解釈(個別分野別不当性要件の統一的解釈)に基づく検討を行ったが、今回は個別分野別一般的否認規定について個別的否認規定との適用関係を検討する。
その検討の素材としては、法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)57条3項と132条の2との適用関係に関する未処理欠損金額引継規定濫用[ヤフー]事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁(以下「ヤフー事件最判」という)と同[TPR]事件・東京高判令和元年12月11日訟月66巻5号593頁(以下「TPR事件東京高判」という)を取り上げることにする。なお、TPR事件東京高判は、原審・東京地判令和元年6月27日訟月66巻5号521頁をほぼそのまま引用し控訴審における当事者の主張に対する判断を付加するにとどまるものであるから、以下では、引用部分については「原判決引用」と付記することにする。
法人税法57条3項と132条の2との適用関係については、TPR事件東京高判に関するある評釈の中で次の見解が示されている(平川雄士「TPR事件判決はPGM事件裁決の批判的検討-法人税法57条2項の趣旨の理解は正しいのか-」週刊税務通信3720号(2022年)15頁、18-19頁)。
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