公開日: 2024/05/30 (掲載号:No.571)
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谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第38回】「質問検査に関する租税権力関係説的構成と租税債務関係説的構成」-荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第38回】

「質問検査に関する租税権力関係説的構成と租税債務関係説的構成」

-荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回までは、申告納税制度における各措置に関する判例として、納税者による第一次的確定権の行使及び第一次的確定義務の履行としての納税申告谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」第11回参照)に関する判例やこれに関連して加算税及び更正の請求に関する判例を取り上げ検討してきたが、今回からは、税務官庁による第二次的確定権の行使及び第二次的確定義務の履行としての課税処分同第15回参照)に関する判例を取り上げ検討することにする(その検討において重視する考え方に関連して、申告納税制度の体系的把握については同第11回、それによる納税義務の確定に係る相互チェック構造については同第15回参照)。

今回は、国税通則法が課税処分の前提要件として定める税務官庁の「調査」(24条~26条)の要件・手続に関する判例の基本的立場を確立した荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁(以下「昭和48年最決」という)を取り上げ検討することにする。この判決は、「調査」の憲法(35条・38条等)適合性に関する川崎民商事件・最大判昭和47年11月22日刑集26巻9号554頁(以下「昭和47年最大判」という)と並んで「調査」に関する基本判例である。

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税法基本判例

【第38回】

「質問検査に関する租税権力関係説的構成と租税債務関係説的構成」

-荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回までは、申告納税制度における各措置に関する判例として、納税者による第一次的確定権の行使及び第一次的確定義務の履行としての納税申告谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」第11回参照)に関する判例やこれに関連して加算税及び更正の請求に関する判例を取り上げ検討してきたが、今回からは、税務官庁による第二次的確定権の行使及び第二次的確定義務の履行としての課税処分同第15回参照)に関する判例を取り上げ検討することにする(その検討において重視する考え方に関連して、申告納税制度の体系的把握については同第11回、それによる納税義務の確定に係る相互チェック構造については同第15回参照)。

今回は、国税通則法が課税処分の前提要件として定める税務官庁の「調査」(24条~26条)の要件・手続に関する判例の基本的立場を確立した荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁(以下「昭和48年最決」という)を取り上げ検討することにする。この判決は、「調査」の憲法(35条・38条等)適合性に関する川崎民商事件・最大判昭和47年11月22日刑集26巻9号554頁(以下「昭和47年最大判」という)と並んで「調査」に関する基本判例である。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」

第1回~第20回

第21回~

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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