谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第40回】
「青色更正の理由附記に関する判例法理」
-最判昭和38年5月31日民集17巻4号617頁の「原理論」及び「技術論」とその後の展開-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
租税法律主義は法律に基づく課税を命じるが、憲法における適正手続の保障(13条、31条)の税法における具体化として課税の手続が適正なものであることを要請する。この要請を手続的保障原則(金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)87頁、拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【27】等参照)というが、これは課税処分の手続についても妥当する。
行政手続一般については、「告知・聴聞、文書閲覧、理由付記、処分基準の設定・公表がいわば適正手続四原則とでもいうべきものとして普遍化している」(塩野宏『行政法Ⅰ〔第6版〕行政法総論』(有斐閣・2015年)295頁。下線筆者)といわれているが、ただ、課税処分の手続については、「課税処分に対して弁明・聴聞等の手続を導入することは、手続の煩雑さと処分の大量性を考えるとあまり現実的とは思われない。これに対し理由附記は、より簡易な手続として課税処分に適用することが可能であり、かつ、唯一の手続保障として重要な役割を担うことが期待されるのである。」(久保茂樹「納税者の手続的権利と理由附記」芝池義一ほか編『租税行政と権利保護』(ミネルヴァ書房・1995年)137頁、150頁)といわれている。
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