M&Aに必要な
デューデリジェンスの基本と実務
-法務編-
弁護士法人ほくと総合法律事務所
弁護士 鈴木 裕也
本連載では、法務デューデリジェンスにおいて弁護士が具体的に何をどう調査しているのかを、調査項目ごとに詳述している。今回はその第2章として、「株式及び株主」項目を取り上げる。
《第2章》
-株式及び株主-
【第2回】
「株式及び株主の調査」
はじめに
法務デューデリジェンスの調査項目として、「株式・株主」が含まれることが一般的である。
特に株式譲渡形式によるM&Aの場合、「株式の有効性」(譲渡対象株式が有効に発行され存続しているか)及び「譲渡対象株式の帰属」(売主が真に譲渡対象株式の株主であるか)は、M&A取引そのものの大前提となる。
そのうえ、この点については財務デューデリジェンスやビジネス・デューデリジェンスでも当然には調査対象とならないから、法務デューデリジェンスにおいてこれらを調査・確認しておく意義は一般にいって大きい。
また、副次的な目的として、「株主の属性」や「対象会社と株主との取引」を把握しておく、という点なども挙げられる。特に、株式の一部譲受けのように、M&A実行後も既存の株主が一部残る場合には、そこに例えばM&Aに反対し、M&A実行後も買主の経営に抵抗することが予想されるような問題株主が含まれていないか等の「株主の属性」を知ることが買主の関心事になる。
また、特に100%オーナーシップのような閉鎖的企業の場合には、会社と大株主との間に取引・便宜その他の特別な利害関係が存在していることが少なくない。
一般的には、このような利害関係はM&A実行時に整理・遮断すべきこととなるが、そうした利害関係の有無・内容を特定するために「対象会社と株主との取引」を調査の目的とすることもしばしばある。
ではそのために、具体的にはどのような調査手続を実施しているのだろうか。
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