谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第11回】
「納税者に有利な「実質的」遡及課税とその問題性」
-国税不服審判所平成31年3月25日裁決による法令解釈と閣議決定によるその変更-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
第5回では、遡及課税は租税法律主義の下では原則として禁止されることを確認してきたが、このことは、遡及課税が納税者に不利な結果をもたらす場合についていえることである。つまり、逆にいえば、納税者に有利な遡及課税は許容されるのである。
この点に関して注目すべき動きが先月あった。それは、令和4年1月7日付けで国税庁ホームページ(ホーム/お知らせ/その他のお知らせ)に「クロスボーダーで行うデリバティブ取引の決済により生ずる所得の取扱いについて」という国税庁の見解(以下「国税庁デリバティブ所得見解」という)が公表されたことであるが、その見解は次のとおり述べている(下線筆者)。
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