公開日: 2014/08/28 (掲載号:No.83)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第8回】「持分法会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP7】持分法会計における税効果

持分法会計で考慮する一時差異は以下の2つである。

(1) 資産・負債の評価差額に係る一時差異(上記【STEP5】(1)①参照)

(2) 未実現損益の消去に係る一時差異

※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

 

(1) 資産・負債の評価差額に係る一時差異

連結会計と同様に持分法適用会社は、時価評価に伴う評価差額についても税効果を認識する。詳細は、第5回【STEP1】(2)①及び上記【STEP5】(1)①参照。

 

(2) 未実現損益の消去に係る一時差異

未実現損益の消去に係る一時差異における税効果の上限に関する考え方は、第5回【STEP4】(2)と同様である。ただし、ダウンストリームとそれ以外で使用する勘定科目が異なる。

① ダウンストリームの場合

ダウンストリームの場合、投資会社で未実現損益を消去するため、投資会社で税効果を認識する(持分法指針26)。そのため、「繰延税金資産(繰延税金負債)」及び「法人税等調整額」の勘定科目を使用する。

投資会社が関連会社に商品を販売し、関連会社がその商品を保有している場合の会計処理は以下のとおりである。

【会計処理】

(*1) 投資会社から購入した商品の期末残高×利益率×投資会社持分比率

(*2) (*1)×法定実効税率

② ダウンストリーム以外の場合

ダウンストリーム以外(アップストリーム、持分法適用会社間の取引)の場合、持分法適用会社で未実現損益を消去するため、持分法適用会社で税効果を認識する(持分法指針25)。

ただし、持分法会計では、持分法適用会社の個別財務諸表を合算せず、「投資有価証券」の増減で持分法適用会社に対する持分の増減を表すため、税効果についても「投資有価証券」及び「持分法による投資損益」の勘定科目を使用する。

関連会社が投資会社に建物を販売し、投資会社がその建物を保有している場合の会計処理は以下のとおりである。

【会計処理】

(*1) (売却価額-関連会社で計上していた際の帳簿価額)×投資会社持分比率

(*2) (*1)×法定実効税率

*   *   *

以上、7のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。

※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。

【参考】

企業会計基準委員会

(了)

「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 」は、毎月最終週に掲載されます。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第8回】

「持分法会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

前回は持分法会計を除く連結会計を解説した。今回は、持分法会計を解説する。

【連結・持分法会計の全体イメージ】(再掲)
※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

連結会計は、個別財務諸表を単純合算して、そこに連結修正仕訳を追加する。いったん、すべて合計して、そこから修正を行うことから、「全部連結」ともいう。

一方、持分法会計は、持分法を適用する関連会社又は非連結子会社(持分法適用会社)のうち、投資会社(関連会社又は非連結子会社の株式を保有している会社)持分を基本的に

という一行の仕訳で連結財務諸表に取り込む。そのため、「一行連結」ともいう。

なお、個別財務諸表では、関連会社又は非連結子会社は、関連会社株式又は子会社株式で表示されるが、連結財務諸表では、持分法適用会社に対する投資勘定は、投資有価証券で表示される。

持分法会計は、以下の7つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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