公開日: 2026/02/12 (掲載号:No.656)
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〔令和8年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「「中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長」「中小企業投資促進税制の見直しと延長」」

筆者: 新名 貴則

〔令和8年3月期〕
決算・申告にあたっての税務上の留意点

【第1回】

「「中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長」
「中小企業投資促進税制の見直しと延長」」

 

公認会計士・税理士 新名 貴則

 

令和7年度税制改正における改正事項を中心として、令和8年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。

【第1回】は「中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長」及び「中小企業投資促進税制の見直しと延長」について解説する。

 

1 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長

中小企業者等において、800万円までの課税所得に適用される軽減税率は本来19%だが、令和7年3月期決算申告までは、特例措置により15%に引き下げられていた。

この措置は令和7年3月31日までに開始する事業年度が対象であったが、令和7年度税制改正により2年間(令和9年3月31日までに開始する事業年度まで)延長された。したがって、中小企業者等においては令和8年3月期決算申告においても、15%が適用される。

ただし、税負担の公平性を確保する観点から、中小企業者等であっても下記に該当する法人に対しては、見直しが行われている。

法人 見直しの内容
その事業年度の所得が年10億円を超えた法人 800万円までの課税所得に適用される軽減税率を15%から17%に引上げ
通算法人 軽減税率15%の適用対象から除外(19%を適用)

これにより、令和7年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度においては、中小企業者等に適用される法人税率は以下の通りである。

中小企業者等の法人税率】

法人 年800万円まで
課税所得
年800万円
課税所得
中小企業者等(下記以外) 15% 23.2%
所得が年10億円超の法人 17% 23.2%
グループ通算制度適用法人 19% 23.2%
適用除外法人(※) 19% 23.2%

(※) 前3事業年度の平均所得が年15億円を超える法人

令和8年3月期の決算申告においては、当該改正が適用されるので注意が必要である。

 

2 「中小企業投資促進税制」の見直しと延長

「中小企業投資促進税制」とは、青色申告書を提出している中小企業者等が、特定の機械装置などを取得等して、指定事業に供用した場合に、その事業の用に供した事業年度において、30%の特別償却又は7%の税額控除を認める制度である。

特定中小企業者等(※) 特別償却 30% 又は 税額控除 7 %
上記以外の中小企業者等 特別償却 30%

(※) 資本金又は出資金3,000万円以下の中小企業者等

適用対象となる事業は次の通りである。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(※1)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業(※2)、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

性風俗関連特殊営業に該当する事業は対象外

(※1) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る

(※2) 映画業以外の娯楽業は対象外

適用対象となる設備は次の通りである。

種類 適用対象
機械及び装置

指定なし

 1つ160万円以上

工具

一定の測定工具及び検査工具

 1つ120万円以上、または、1つ30万円以上かつ複数合計120万円以上

車両及び運搬具

貨物運搬用の普通自動車

 車両総重量3.5トン以上

船舶

内航船舶

 取得価額の75%が対象

ソフトウェア

一定のソフトウェア

 1つ70万円以上、または、複数合計70万円以上

令和7年3月31日までに取得等をして事業供用した資産が対象であったが、これが2年延長され、令和9年3月31日までに取得等して事業供用した資産が対象とされた。したがって、令和8年3月期の決算申告においては適用が継続される。

また、適用対象外となる「みなし大会社」の判定において、農地法に規定する農地所有適格法人が判定対象となる場合について、令和7年度税制改正により判定方法の見直しが行われている。

(了)

次回は2/19の公開となります。

〔令和8年3月期〕
決算・申告にあたっての税務上の留意点

【第1回】

「「中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長」
「中小企業投資促進税制の見直しと延長」」

 

公認会計士・税理士 新名 貴則

 

令和7年度税制改正における改正事項を中心として、令和8年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。

【第1回】は「中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長」及び「中小企業投資促進税制の見直しと延長」について解説する。

 

1 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長

中小企業者等において、800万円までの課税所得に適用される軽減税率は本来19%だが、令和7年3月期決算申告までは、特例措置により15%に引き下げられていた。

この措置は令和7年3月31日までに開始する事業年度が対象であったが、令和7年度税制改正により2年間(令和9年3月31日までに開始する事業年度まで)延長された。したがって、中小企業者等においては令和8年3月期決算申告においても、15%が適用される。

ただし、税負担の公平性を確保する観点から、中小企業者等であっても下記に該当する法人に対しては、見直しが行われている。

法人 見直しの内容
その事業年度の所得が年10億円を超えた法人 800万円までの課税所得に適用される軽減税率を15%から17%に引上げ
通算法人 軽減税率15%の適用対象から除外(19%を適用)

これにより、令和7年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度においては、中小企業者等に適用される法人税率は以下の通りである。

中小企業者等の法人税率】

法人 年800万円まで
課税所得
年800万円
課税所得
中小企業者等(下記以外) 15% 23.2%
所得が年10億円超の法人 17% 23.2%
グループ通算制度適用法人 19% 23.2%
適用除外法人(※) 19% 23.2%

(※) 前3事業年度の平均所得が年15億円を超える法人

令和8年3月期の決算申告においては、当該改正が適用されるので注意が必要である。

 

2 「中小企業投資促進税制」の見直しと延長

「中小企業投資促進税制」とは、青色申告書を提出している中小企業者等が、特定の機械装置などを取得等して、指定事業に供用した場合に、その事業の用に供した事業年度において、30%の特別償却又は7%の税額控除を認める制度である。

特定中小企業者等(※) 特別償却 30% 又は 税額控除 7 %
上記以外の中小企業者等 特別償却 30%

(※) 資本金又は出資金3,000万円以下の中小企業者等

適用対象となる事業は次の通りである。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(※1)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業(※2)、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

性風俗関連特殊営業に該当する事業は対象外

(※1) 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る

(※2) 映画業以外の娯楽業は対象外

適用対象となる設備は次の通りである。

種類 適用対象
機械及び装置

指定なし

 1つ160万円以上

工具

一定の測定工具及び検査工具

 1つ120万円以上、または、1つ30万円以上かつ複数合計120万円以上

車両及び運搬具

貨物運搬用の普通自動車

 車両総重量3.5トン以上

船舶

内航船舶

 取得価額の75%が対象

ソフトウェア

一定のソフトウェア

 1つ70万円以上、または、複数合計70万円以上

令和7年3月31日までに取得等をして事業供用した資産が対象であったが、これが2年延長され、令和9年3月31日までに取得等して事業供用した資産が対象とされた。したがって、令和8年3月期の決算申告においては適用が継続される。

また、適用対象外となる「みなし大会社」の判定において、農地法に規定する農地所有適格法人が判定対象となる場合について、令和7年度税制改正により判定方法の見直しが行われている。

(了)

次回は2/19の公開となります。

連載目次

〔令和8年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点

筆者紹介

新名 貴則

(しんみょう・たかのり)

公認会計士・税理士

京都大学経済学部卒。愛媛県松山市出身。
朝日監査法人(現:有限責任あずさ監査法人)にて、主に会計監査と内部統制構築に従事。
日本マネジメント税理士法人にて、個人商店から上場企業まで幅広く顧問先を担当。またM&Aや監査法人対応などのアドバイスも行う。
平成24年10月1日より新名公認会計士・税理士事務所代表。

【著書】
・『新版 退職金をめぐる税務』(清文社)
・『Q&Aでわかる 監査法人対応のコツ』
・『現場の疑問に答える 税効果会計の基本Q&A』
・『148の事例から見た是否認事項の判断ポイント』(共著)
・『消費税申告の実務』(共著)
(以上、税務経理協会)

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