平成29年度税制改正における
『連結納税制度』改正事項の解説
【第1回】
「非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸
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~はじめに~
本年も連結納税適用法人を対象に、平成29年度税制改正の概要を解説したい。
連結納税適用法人に関する税制は、次の4種類に分類される。
平成29年度税制改正では、①連結納税特有の取扱いに関する改正として、「連結納税開始・加入時の時価評価の対象から帳簿価額が1,000万円未満の資産を除外する」(後述)と、「スクイーズアウトにより完全子法人化した連結子法人が特定連結子法人に該当する」(次回解説)という2つの改正が実現した。
この2つの改正は、連結納税の採用と加入を後押しするという意味で、非常に大きな改正となっている。
また、それ以外にも、研究開発税制と所得拡大促進税制の見直し、地域未来投資促進税制の創設(以上、②に分類)、タックス・ヘイブン税制の総合的見直し(③に分類)などがあり、今年度も連結納税適用法人にとって影響が大きい改正となっている。
連結納税適用法人に関係する税制改正については、専門誌等でも「連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています。」という一言で片づけられてしまうことも多く、連結納税適用法人は、単体納税の税制改正の内容を参考に連結納税ではどう取り扱われるのか?を自ら確認しなくてはいけないことも多い。
そこで、本稿では、連結納税適用法人に関係する改正項目について、その具体的な取扱いと実務に与える影響を解説していくこととする(単体納税と同様の取扱いとなる改正については適宜割愛させていただくので、他稿を参照されたい)。
なお、本稿の意見に関する部分は、筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りする。
[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し
1 改正内容
平成29年10月1日以後に終了する事業年度終了の時に有する資産について、連結納税開始・加入時の時価評価の対象から「帳簿価額が1,000万円未満の資産」を除外する(新法令122の12①四、新法法61の11①、61の12①、平成29年改正法令附則1一、15)。
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