平成30年度税制改正における
『連結納税制度』改正事項の解説
【第1回】
「『所得拡大促進税制』の改組(その1:大企業向け)」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸
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~はじめに~
連結納税適用法人を対象に平成30年度税制改正の概要を解説したい。連結納税適用法人に関する税制は、次の4種類に分類される。
平成29年度税制改正では、連結納税特有の取扱いに関する改正として、「連結納税開始・加入時の時価評価の対象から帳簿価額が1,000万円未満の資産(自己創設営業権等)を除外する」と「スクイーズアウトにより完全子法人化した連結子法人が特定連結子法人に該当する」という改正が実現したが、平成30年度税制改正では、時価評価や連結欠損金など連結納税特有の取扱いに関する改正は行われていない。
平成30年度税制改正は、デフレ脱却と経済再生に向け、生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、十分な賃上げや国内設備投資を行った企業について、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができる措置を講じるとともに、情報連携投資について、特別償却又は税額控除ができる措置を講ずることになった(所得拡大促進税制の改組及び情報連携投資等促進税制の創設)。
また、所得が増加しているにもかかわらず、 賃上げや設備投資をほとんど行っていない大企業については、研究開発税制等、生産性の向上に関連する税額控除が適用できないことになった(大企業に対する租税特別措置の適用除外措置の創設)。
これらについて、連結納税制度においても単体納税制度と同様の改正が行われているが、所得拡大促進税制や大企業に対する租税特別措置の適用除外措置については、連結グループ全体での適用が行われるなど、単体納税とは異なる取扱いが生じることになる。
また、生産性向上の推進や官民あわせたコスト削減の観点から、資本金1億円超の大企業について、平成32年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税、消費税、地方税等の電子申告が義務化されることになり、連結納税制度では、単体納税における電子申告とは異なる連結納税特有の論点が生じることになる。
そこで、本稿では、連結納税制度に関係する改正項目について、その具体的な取扱いと実務に与える影響を単体納税と比較しながら解説していくこととする。
なお、本稿の意見に関する部分は、筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りする。
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