連結納税適用法人のための
平成28年度税制改正
【第8回】
「移転価格文書化制度(その1)」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸
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[11] 移転価格文書化制度
1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度
多国籍企業グループによるグループ内取引を通じた所得の海外移転に対して、適正な課税(移転価格課税)を実現するためには、国外関連者との取引やグローバルに行う取引の全体像を把握することが必要とされる。
そこで、BEPSプロジェクトでは、経済界のコンプライアンス・コストに配慮しつつ、税務当局のために透明性を高めることを目的として、多国籍企業グループに対して、共通様式に基づいた多国籍企業情報の報告等(移転価格に係る文書化)として、次に掲げる3種類の文書を税務当局に提供等することが勧告された。
(1) 国別報告書
(2) マスターファイル(事業概況報告事項)
(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)
この勧告を踏まえ、平成28年度税制改正において、次のように多国籍企業情報の報告等に係る制度が整備された。
なお、改正前の移転価格文書化制度は、租税特別措置法施行規則第22条の74に定められている独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(改正後のローカルファイルに相当する書類)を作成しない場合に、国税当局によって推定課税及び同業者調査が行われるという制度であったが、企業に文書化を義務付ける制度ではなかった。
しかし、改正後は、企業に上記3つの文書を作成することを義務化しており、その点で従来の移転価格文書化制度と大きく異なることとなる。
以下ではそれぞれの文書について、3回にわたって解説することとする。
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