空き家をめぐる法律問題
【事例18】
「空き家で火災が生じた場合の火災保険金の支払いの有無」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
私Aは、父から相続した実家で生活し、実家と家財道具に火災保険を付しておりました。その後、私は、実家から転居し、半年に1度くらいの割合で実家に立ち寄るようにしていましたが、田舎にあることもあり施錠を十分に行えていませんでした。
以前、実家に立ち寄った際に、近所の方からの立ち話で、夜中に灯のようなものがついていることがあった旨聞いておりましたが、そのことを失念しており、対処を怠っていました。そうしたところ、ある日、実家で火災が生じており、放火である可能性が高いとの連絡を受けました。
今後、保険会社に火災保険金を請求することを考えておりますが、保険金を請求することに問題はありますか。
1 はじめに
自宅とは別に空き家を所有している場合、管理が十分に行き届かず、不審者に侵入され放火の対象とされるリスクがある。本事例のように、もともと居住していた建物に火災保険を付しており、その後空き家になった建物の管理が十分に行われなかった結果、放火されて焼失したような場合、火災保険金が支払われるかは空き家の所有者にとって重要な問題となる。
そこで今回は、火災保険金の支払いが免責される場合の基準を検討することとしたい。
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