空き家をめぐる法律問題
【事例24】
「倒壊のおそれがある隣家の空き家問題」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
私は、地方に相続した建物を所有していますが、建物も古くなっていることや使い道もないことから、取り壊すことを考えています。ところが、実際に現地へ行ってみると、隣家の建物が傾いており、私の所有する建物に寄りかかっているような状態となっていました。
解体業者に相談したところ、私の所有する建物を取り壊そうとすると、支えを失って隣家が倒壊する可能性がある旨指摘を受けました。
このような場合に、どのようなことに注意して取壊しをすればよいですか。
なお、隣家は空き家となっており、誰が所有者か、現時点では分かっていません。
1 はじめに
建物の所有者が建物(以下「自己所有建物」という)を取り壊そうとしたところ、近接する隣家が傾いて寄りかかっている等の事情のために、取り壊すことに支障があるような事例が見受けられる。
現に、筆者の事務所所在地においても、市内中心部においては、このような状態の物件が散見されており、今後、全国においてもこのような事象が増えていく可能性があるように思われる。
そこで、今回は、自己所有建物を取り壊そうとする場合に、隣地に倒壊の危険性のある空き家の法律問題について検討することにしたい。
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