公開日: 2022/09/22 (掲載号:No.487)
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第1回】

筆者: 泉 絢也

暗号資産(トークン)NFTをめぐる税務

【第1回】

 

千葉商科大学商経学部准教授
泉 絢也

 

(次回)→

連載の目次はこちら

連載に当たって

令和4年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針2022)において、日本政府は「Web3.0」を日本の成長戦略に組み込んだ(「Web3」、「web3」など表記方法や用語の使い分けが複数存在するが、本連載では「Web3.0」と表記する)。

そこでは、「第2章 新しい資本主義に向けた改革」の「2.社会課題の解決に向けた取組」の「(3)多極化・地域活性化の推進」の箇所において、要旨次のとおり述べている。

(多極化された仮想空間へ)
より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン(※1)上でのデジタル資産の普及・拡大など、ユーザーが自らデータの管理や活用を行うことで、新しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型のデジタル社会の実現に向けて、必要な環境整備を図る。

そのため、トラステッド・ウェブ(Trusted Web)(※2)の実現に向けた機能の詳細化や国際標準化への取組を進める。

また、ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(※3)やDAO(※4)の利用等のWeb3.0(※5)の推進に向けた環境整備の検討を進める。

さらに、メタバース(※6)も含めたコンテンツの利用拡大に向け、2023 年通常国会での関連法案の提出を図る。

Fintechの推進のため、セキュリティトークン(デジタル証券)での資金調達に関する制度整備、暗号資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和、決済手段としての経済機能に関する解釈指針の作成などを行う(※7)

(※1) ブロックチェーン

分散型台帳とも呼ばれ、特定の帳簿管理者を置かずに、参加者が同じ帳簿を共有しながら資産や権利の移転などを記録していく情報技術。

(※2) トラステッド・ウェブ(Trusted Web)

特定のサービスに依存せずに、個人・法人によるデータのコントロールを強化する仕組み。やり取りするデータや相手方を検証できる仕組み等の新たな信頼の枠組みをインターネット上に付加するもの。

(※3) NFT

Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略称。「偽造・改ざん不能のデジタルデータ」であり、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつもの。

(※4) DAO

Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)の略称。中央集権的な存在に支配されることなく、誰でも参加可能な組織であり、取引が自動的にブロックチェーン上に記録されるため、透明性と公平性に富んでいるとされる。

(※5) Web3.0

次世代インターネットとして注目される概念。巨大なプラットフォーマーの支配を脱し、分散化されて個と個がつながった世界。電子メールとウェブサイトを中心としたWeb1.0、スマートフォンとSNSに特徴付けられるWeb2.0 に続くもの。

(※6) メタバース

コンピューターやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービス。

(※7) ステーブルコインに関する制度整備等の安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を含む。

Web3.0について、経済産業省作成の「経済秩序の激動期における経済産業政策の方向性」(令和4年5月19日)30頁では、次のとおり、デジタル技術の発展に合わせて、Web社会を3つの段階に分けて捉える考え方を紹介している。

Web1.0

インターネット導入初期の段階。従前の手紙や電話といった手段に加えて電子メールがコミュニケーション手段に追加。ただし、一方通行のコミュニケーション。

Web2.0

SNS(Twitter、Facebook等)が生み出され、双方向のコミュニケーションが可能に。他方で巨大なプラットフォーマーに個人データが集中する仕組み。

Web3.0

ブロックチェーンによる相互認証、データの唯一性・真正性、改ざんに対する堅牢性に支えられて、個人がデータを所有・管理し、中央集権不在で個人同士が自由につながり交流・取引する世界。

出典:経済産業省「経済秩序の激動期における経済産業政策の方向性30頁

また、上記の骨太の方針2022に先立ち、自由民主党政務調査会デジタル社会推進本部作成の「デジタル・ニッポン2022~デジタルによる新しい資本主義への挑戦~」(令和4年4月26日)33頁は、国家戦略の策定・推進体制の構築という文脈で、「Web3.0やNFTを新しい資本主義の成長の柱に位置付け、Web3.0 担当大臣を置き、経済政策の推進、諸外国との連携の司令塔とすべき。省庁横断の相談窓口を置くべき」と提言している。

同資料31頁は、次世代インターネットとして注目されるWeb3.0は、ブロックチェーン技術で個人情報が暗号化され、複数ユーザーで共有しあうため、セキュリティに強く、特定のプラットフォーマーに依存しない技術として、主に次のような特徴を持つとしている。

① トークン経済への移行

ユーザーはデータとしてのトークンを所有する。トークンはインターネット上の財産となりうるデータを表し、複製できず、金銭(暗号資産の場合は「コイン」)に限らず、ゲームのアイテム、コンテンツ、契約書等々実生活で使うほとんどのものを表現でき、秘密鍵で守られたウォレットで管理される。

② 中央管理者がいらない

プラットフォーマーを介さず直接サービス提供者と取引できるため手数料がいらなくなる。例えば、分散型金融(DeFi)では、手数料を取って資金移動を担う銀行は必要なくなる。

③ セキュリティレベルの向上

ブロックチェーン技術が基盤で、データが暗号化され、分散されて共有されるのでサイバー攻撃に強い。

④ パーソナルデータ管理の向上

個人情報や行動履歴データを、プラットフォームに頼らずに、自己管理できる。

⑤ 分散型自律組織(DAO)

中央管理者がおらず、構成員が自律的に運営する組織が誕生し、組織の在り方が根本的に変わる。

⑥ 新しい付加価値としてのNFT

希少性や唯一性が担保され資産的価値をもつNFTがWeb3.0 の経済的起爆剤の1つとなっている。

このような状況の中で、本連載は、主として、Web3.0の時代をけん引する可能性がある重要なツールである暗号資産(仮想通貨)及びNFTに着目し、その税務上の取扱いや問題点を解説・検討する。

暗号資産及びNFTに係る取引は既に日本でも行われているが、その税務上の取扱いが明らかでないものが多数存在する。
これらの税務上の取扱いや問題点を明らかにするためには、税法の知識のみならず、私法や規制法の理解、時には技術的な側面までも理解する必要があると考える。

そこまでしてもなお、その税務上の取扱いを明らかにすることができないものも少なくないであろう。

しかしながら、申告納税制度を採用している以上、納税者は、租税の専門家の助けを借りつつも、自らの責任においてその税務処理を適正に行わなければならない。

本連載では、このような状況に置かれている納税者や税理士が、暗号資産やNFTの取引に係る税務処理を検討し、課税関係を判断する際に有益な情報を提供することを主たる目的とする。

NFTの譲渡代金やNFT取引に係る手数料は、通常、暗号資産で支払われる。よって、NFTの課税関係を検討する際には、暗号資産の課税上の取扱いに関する知識が必要になる。そこで、本連載では、暗号資産、NFTの順に、その税務上の取扱いや問題点を解説・検討する。

なお、暗号資産の種類は膨大な量に膨れ上がっているが、本連載では、説明の便宜上、暗号資産の種類や単位の例示として、主に、BTC(ビットコイン)やETH(イーサ)を用いる。

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

暗号資産(トークン)NFTをめぐる税務

【第1回】

 

千葉商科大学商経学部准教授
泉 絢也

 

(次回)→

連載の目次はこちら

連載に当たって

令和4年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針2022)において、日本政府は「Web3.0」を日本の成長戦略に組み込んだ(「Web3」、「web3」など表記方法や用語の使い分けが複数存在するが、本連載では「Web3.0」と表記する)。

そこでは、「第2章 新しい資本主義に向けた改革」の「2.社会課題の解決に向けた取組」の「(3)多極化・地域活性化の推進」の箇所において、要旨次のとおり述べている。

(多極化された仮想空間へ)
より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン(※1)上でのデジタル資産の普及・拡大など、ユーザーが自らデータの管理や活用を行うことで、新しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型のデジタル社会の実現に向けて、必要な環境整備を図る。

そのため、トラステッド・ウェブ(Trusted Web)(※2)の実現に向けた機能の詳細化や国際標準化への取組を進める。

また、ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(※3)やDAO(※4)の利用等のWeb3.0(※5)の推進に向けた環境整備の検討を進める。

さらに、メタバース(※6)も含めたコンテンツの利用拡大に向け、2023 年通常国会での関連法案の提出を図る。

Fintechの推進のため、セキュリティトークン(デジタル証券)での資金調達に関する制度整備、暗号資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和、決済手段としての経済機能に関する解釈指針の作成などを行う(※7)

(※1) ブロックチェーン

分散型台帳とも呼ばれ、特定の帳簿管理者を置かずに、参加者が同じ帳簿を共有しながら資産や権利の移転などを記録していく情報技術。

(※2) トラステッド・ウェブ(Trusted Web)

特定のサービスに依存せずに、個人・法人によるデータのコントロールを強化する仕組み。やり取りするデータや相手方を検証できる仕組み等の新たな信頼の枠組みをインターネット上に付加するもの。

(※3) NFT

Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略称。「偽造・改ざん不能のデジタルデータ」であり、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつもの。

(※4) DAO

Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)の略称。中央集権的な存在に支配されることなく、誰でも参加可能な組織であり、取引が自動的にブロックチェーン上に記録されるため、透明性と公平性に富んでいるとされる。

(※5) Web3.0

次世代インターネットとして注目される概念。巨大なプラットフォーマーの支配を脱し、分散化されて個と個がつながった世界。電子メールとウェブサイトを中心としたWeb1.0、スマートフォンとSNSに特徴付けられるWeb2.0 に続くもの。

(※6) メタバース

コンピューターやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービス。

(※7) ステーブルコインに関する制度整備等の安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を含む。

Web3.0について、経済産業省作成の「経済秩序の激動期における経済産業政策の方向性」(令和4年5月19日)30頁では、次のとおり、デジタル技術の発展に合わせて、Web社会を3つの段階に分けて捉える考え方を紹介している。

Web1.0

インターネット導入初期の段階。従前の手紙や電話といった手段に加えて電子メールがコミュニケーション手段に追加。ただし、一方通行のコミュニケーション。

Web2.0

SNS(Twitter、Facebook等)が生み出され、双方向のコミュニケーションが可能に。他方で巨大なプラットフォーマーに個人データが集中する仕組み。

Web3.0

ブロックチェーンによる相互認証、データの唯一性・真正性、改ざんに対する堅牢性に支えられて、個人がデータを所有・管理し、中央集権不在で個人同士が自由につながり交流・取引する世界。

出典:経済産業省「経済秩序の激動期における経済産業政策の方向性30頁

また、上記の骨太の方針2022に先立ち、自由民主党政務調査会デジタル社会推進本部作成の「デジタル・ニッポン2022~デジタルによる新しい資本主義への挑戦~」(令和4年4月26日)33頁は、国家戦略の策定・推進体制の構築という文脈で、「Web3.0やNFTを新しい資本主義の成長の柱に位置付け、Web3.0 担当大臣を置き、経済政策の推進、諸外国との連携の司令塔とすべき。省庁横断の相談窓口を置くべき」と提言している。

同資料31頁は、次世代インターネットとして注目されるWeb3.0は、ブロックチェーン技術で個人情報が暗号化され、複数ユーザーで共有しあうため、セキュリティに強く、特定のプラットフォーマーに依存しない技術として、主に次のような特徴を持つとしている。

① トークン経済への移行

ユーザーはデータとしてのトークンを所有する。トークンはインターネット上の財産となりうるデータを表し、複製できず、金銭(暗号資産の場合は「コイン」)に限らず、ゲームのアイテム、コンテンツ、契約書等々実生活で使うほとんどのものを表現でき、秘密鍵で守られたウォレットで管理される。

② 中央管理者がいらない

プラットフォーマーを介さず直接サービス提供者と取引できるため手数料がいらなくなる。例えば、分散型金融(DeFi)では、手数料を取って資金移動を担う銀行は必要なくなる。

③ セキュリティレベルの向上

ブロックチェーン技術が基盤で、データが暗号化され、分散されて共有されるのでサイバー攻撃に強い。

④ パーソナルデータ管理の向上

個人情報や行動履歴データを、プラットフォームに頼らずに、自己管理できる。

⑤ 分散型自律組織(DAO)

中央管理者がおらず、構成員が自律的に運営する組織が誕生し、組織の在り方が根本的に変わる。

⑥ 新しい付加価値としてのNFT

希少性や唯一性が担保され資産的価値をもつNFTがWeb3.0 の経済的起爆剤の1つとなっている。

このような状況の中で、本連載は、主として、Web3.0の時代をけん引する可能性がある重要なツールである暗号資産(仮想通貨)及びNFTに着目し、その税務上の取扱いや問題点を解説・検討する。

暗号資産及びNFTに係る取引は既に日本でも行われているが、その税務上の取扱いが明らかでないものが多数存在する。
これらの税務上の取扱いや問題点を明らかにするためには、税法の知識のみならず、私法や規制法の理解、時には技術的な側面までも理解する必要があると考える。

そこまでしてもなお、その税務上の取扱いを明らかにすることができないものも少なくないであろう。

しかしながら、申告納税制度を採用している以上、納税者は、租税の専門家の助けを借りつつも、自らの責任においてその税務処理を適正に行わなければならない。

本連載では、このような状況に置かれている納税者や税理士が、暗号資産やNFTの取引に係る税務処理を検討し、課税関係を判断する際に有益な情報を提供することを主たる目的とする。

NFTの譲渡代金やNFT取引に係る手数料は、通常、暗号資産で支払われる。よって、NFTの課税関係を検討する際には、暗号資産の課税上の取扱いに関する知識が必要になる。そこで、本連載では、暗号資産、NFTの順に、その税務上の取扱いや問題点を解説・検討する。

なお、暗号資産の種類は膨大な量に膨れ上がっているが、本連載では、説明の便宜上、暗号資産の種類や単位の例示として、主に、BTC(ビットコイン)やETH(イーサ)を用いる。

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

暗号資産(トークン)・NFT をめぐる税務

【第1回】 ★無料公開中★

〔連載に当たって〕

【第2回】

第1章 暗号資産の税務と課税問題

第1節 暗号資産とは

1 暗号資産の定義

2 通貨該当性・強制通用力の有無

【第3回】

3 暗号資産の私法上の性質・位置付け

(1) 総論

(2) 各論

《更なる考察》 「占有=所有」構成

《更なる考察》 私法の議論から得られる示唆

【第4回】

第2節 所得税における暗号資産の税務と課税問題

1 所得税法の暗号資産関連規定

(1) 暗号資産の定義

【第5回】

(2) 暗号資産の贈与・低額譲渡に関する規定

【第6回】

(3) 暗号資産を譲渡した場合の計算に関する規定

ア 棚卸資産と売上原価の計算

イ 暗号資産の譲渡原価の計算

ウ 暗号資産の取得価額

【第7回】

エ 年末時点での1単位当たりの取得価額

(ア) 総平均法と移動平均法

(イ) 評価方法の選定・変更等

【第8回】

(ウ) 相続等により取得した暗号資産の取得価額

【第9回】

(エ) 暗号資産の取得価額がわからない場合と5%通達の問題

NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解

【第10回】

本連載の今後の進め方について

問1 NFTを組成して第三者に譲渡した場合(一次流通)

1 所得の定義

2 「デジタルアートの閲覧に関する権利」が前提とされたことに伴うリスク

3 NFT取引の着眼点とNFTに係る権利の設定という構成

4 一次流通の場合の所得区分

5 法人税の取扱い

【第11回】

問2 NFTを組成して知人に贈与した場合(一次流通)

1 贈与した個人の取扱い

2 贈与した法人の取扱い

問3 非居住者がNFTを組成して、日本のマーケットプレイスで譲渡した場合(一次流通)

【第12回】

問4 購入したNFTを第三者に転売した場合(二次流通)

1 二次流通の場合の所得区分

2 譲渡所得金額の計算

3 「デジタルアートの閲覧に関する権利」という前提

4 法人税の取扱い

【第13回】

問5 第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合

問6 役務提供の対価として取引先が発行するトークンを取得した場合

【第14回】

問7 商品の購入の際に購入先が発行するトークンを取得した場合

【第15回】

問8 ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合

【第16回】

問9 NFTを贈与又は相続により取得した場合

【第17回】

問10 NFT取引に係る源泉所得税の取扱い

【第18回】

問11 NFT取引に係る消費税の取扱い①(デジタルアートの制作者)

【第19回】

問12 NFT取引に係る消費税の取扱い②(デジタルアートに係るNFTの転売者)

【第20回】

問13 財産債務調書への記載の要否

問14 財産債務調書へのNFTの価額の記載方法

問15 国外財産調書への記載の要否

【第21回】

2 暗号資産取引と所得区分(所得の種類)

(1) 暗号資産取引と所得区分の概要

【第22回】

(2) 譲渡所得該当性を否定する国税庁の根拠

【第23回】

(3) 国会における議論①:譲渡所得該当性を否定する根拠

【第24回】

(4) 国会における議論②:資産ではあるが、譲渡所得の基因となる資産ではない?

【第25回】

(5) 国会における議論③:譲渡所得を肯定する学説と外貨の取扱い

【第26回】

(6) 国税庁の見解に対する疑問

ア 「①清算課税説」

【第27回】

イ 「②支払手段性」

【第28回】

ウ 「③暗号資産の譲渡益の性質」と「④結論」

【第29回】

《更なる考察》邦貨と外貨の交換(両替)と所得税法33条の「譲渡」

【第30回】

3 所得税における暗号資産の信用取引

【第31回】

4 その他雑所得と必要経費

(1) 必要経費の問題

【第32回】

(2) 業務に係る雑所得とその他雑所得の区分とその判断基準

【第33回】

5 マイニング所得と雑所得

(1) マイニングとは

(2) 事案の概要

(3) 基礎事実(請求人による仮想通貨のマイニングについて)

(4) 当事者の主張と争点

(5) 審判所の判断

ア 審判所の判断枠組み

イ 結論と理由

【第34回】

6 異なる種類の暗号資産同士の交換は課税イベントか

【第35回】

7 暗号資産同士の交換時に課税しないという改正要望

【第36回】

8 暗号資産の所得は誰に帰属するか

【第37回】

9 暗号資産の節税コンサルティングの被害と損害賠償

(1) 事案の概要

(2) 事実関係

(3) 裁判所の判断

(4) 類似事案における重加算税の賦課

【第38回】

10 暗号資産に係る所得を分離課税にしてほしいという改正要望

【第39回】

11 詐欺・盗難等による暗号資産の損失①(譲渡原価等と現金類似の取扱い)

【第40回】

12 詐欺・盗難等による暗号資産の損失②(雑所得の基因となる資産の損失)

【第41回】

13 詐欺・盗難等による暗号資産の損失③(雑損控除)

【第42回】

14 秘密鍵を紛失した場合

【第43回】

15 暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合

(1) 国税庁の見解

(2) 損害賠償金の課税関係

【第44回】

(3) 補償金の非課税所得該当性

(4) タックスアンサーの回答の検討

【第45回】

16 暗号資産の損失と立証責任

(1) 事案の概要

(2) 基礎事実

(3) 争点

(4) 争点についての当事者の主張

【第46回】

(5) 審判所の判断

(6) コメント

【第47回】

17 ビットコインETFと分離課税(その1):概要

(1) SECによるビットコインETFの承認

(2) ETFとは

(3) ビットコインETFの特徴

【第48回】

18 ビットコインETFと分離課税(その2):問題意識①

【第49回】

19 ビットコインETFと分離課税(その3):問題意識②

【第50回】

20 ビットコインETFと分離課税(その4):本信託の概要

(1) 本信託と本件持分

(2) 本信託の設立

(3) 本信託の投資目的等

(4) 本信託とビットコイン等

(5) その他

【第51回】

21 ビットコインETFと分離課税(その5):本信託のスキーム図と主な関係者

(1) スキーム図

(2) 主な関係者

ア スポンサー(Sponsor)

イ 受託者(Trustee)

ウ 管理者(Administrator)

エ 名義書換代理人(Transfer Agent)

オ ビットコインカストディアン(Bitcoin Custodian)

カ キャッシュカストディアン(Cash Custodian)

キ 指定参加者(Authorized Participant)

ク 持分所有者(Shareholder)

ケ その他の関係者

【第52回】

22 ビットコインETFと分離課税(その6):本信託の仕組み

(1) 設定と償還(指定参加者による買注文と売注文)

ア バスケット単位による設定と償還

イ 発行プロセス

ウ 償還プロセス

(2) 資金の使途

(3) ハードフォークによって生ずる付随的権利等の取扱い

(4) 持分所有者に対する分配

(5) 本信託の終了

【第53回】

(6) 受益権と本件持分

ア 概要

イ 本件持分の発行方式等

ウ 本件持分の譲渡方式等

(7) 米国連邦所得税の課税関係

ア スポンサーの意図

イ 信託課税

ウ 米国持分所有者に対する課税

(8) 非米国持分所有者への課税

(9) 米国における情報申告とバックアップ源泉徴収

【第54回】

23 ビットコインETFと分離課税(その7):本件分離課税特例「株式等」及び「上場株式等」

(1) 本件分離課税特例における「株式等」及び「上場株式等」の意義

(2) 「投資信託の受益権」該当性

ア 特定資産の意義と「投信法上の投資信託」該当性①

【第55回】

イ 特定資産の意義と「投信法上の投資信託」該当性②

ウ 「外国投資信託」該当性

【第56回】

エ 外国信託が投信法上の投資信託に類するものといえるかどうかは種々の事情を総合勘案すべきという見解

(3) 「特定受益証券発行信託の受益権」該当性

【第57回】

(4) 「法人課税信託」該当性

ア 「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」該当性

(ア) 受益権を表示する「紙片」を発行する旨の定めがない信託は含まれないとする見解

【第58回】

(イ) 特定受益証券発行信託とそれ以外の受益証券発行信託で異なる課税方式を採用した趣旨

【第59回】

イ 紙片を発行せずに振替式を利用する定めのある外国信託も含まれるとする見解①(規定の趣旨との関係)

【第60回】

ウ 紙片を発行せずに振替式を利用する定めのある外国信託も含まれるとする見解②(社債等振替法に係る振替受益権との関係)

(ア) 信託法と社債等振替法

(イ) 法人税法

【第61回】

エ 「集団投資信託」該当性

(ア) 合同運用信託と紙片を発行する旨の定めがない外国投資信託

(イ) 「信託会社」該当性

【第62回】

(ウ) 「金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの」及び「信託」等該当性

オ 「信託」該当性

カ 本信託の法人課税信託該当性とその効果

(5) 「株式等で金融商品取引所に上場されているものに類するもの」

(6) 本件分離課税特例(分離課税)の適用の可否

【第63回】

24 ビットコインETFと分離課税(その8):まとめ

【第64回】

25 ビットコインETFと分離課税(その9):国税庁の回答

【第65回】

26 DeFi取引と課税①:DeFiとDEX

(1) DeFiとは

(2) スマートコントラクトとは

(3) DEXとは

【第66回】

(4) Uniswap

【第67回】

27 DeFi取引と課税②:流動性供給開始は課税イベントか

(1) 課税イベントになるという見解

(2) 課税イベントと実現

【第68回】

(3) 暗号資産(トークン)の含み損益の課税イベント

【第69回】

(4) 権利義務の帰属主体の不存在

(5) 課税イベントの候補

【第70回】

28 DeFi取引と課税③:トークンのラップは課税イベントか

(1) ラップとブリッジ

【第71回】

(2) BTCからWBTCへのラップ

(3) ラップは課税イベントか

ア 課税イベントと捉える見解

【第72回】

イ カストディアンがいるケース

ウ カストディアンがいないケース

【第73回】

29 CARF(暗号資産等報告枠組み)と日本版CARF

(1) CARF・日本版CARFの概要①

【第74回】

(2) CARF・日本版CARFの概要②

【第75回】

(3) CARF・日本版CARFの概要③

ア 暗号資産

【第76回】

イ RCASPと報告暗号資産交換業者等

【第77回】

30 暗号資産と税務調査①

(1) 問題意識と方向性

【第78回】

(2) 匿名性・分散性と税務執行上の問題

ア スーパータックスヘイブンとしての暗号資産の特徴

【第79回】

イ 暗号資産の匿名性

【第80回】 11/13公開予定

ウ 匿名性・分散性の相互関連性

【第81回】 11/27公開予定

エ 匿名性がもたらす税務執行上の問題

【第82回】 12/11公開予定

オ 暗号資産の分散性

【第83回】 12/25公開予定

カ 分散性がもたらす税務執行上の問題

【第84回】 1/15公開予定

キ CARFの限界

【第85回】 1/31公開予定

ク CARFとプライベートウォレットアドレスの情報

【第86回】 2/12公開予定

ケ 日本における状況と国税庁が直面する問題

(ア) 暗号資産利用者の増加への対応

【第87回】 2/26公開予定

(イ) 税務調査による税務コンプライアンスの確保とCEXへの着目

【第88回】 3/12公開予定

(ウ) 海外CEX、DEX、プライベートウォレットの利用がもたらす問題

【第89回】 3/26公開予定

(エ) 海外CEX、DEX、プライベートウォレットと税務調査

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

泉 絢也

(いずみ・じゅんや)

東洋大学法学部教授
博士(会計学)

2023年3月末まで千葉商科大学商経学部准教授、2023年4月から2025年3月末まで東洋大学法学部准教授の後、2025年4月より東洋大学法学部教授。中央大学ビジネススクール非常勤講師。
(一社)アコード租税総合研究所研究顧問。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。博士(会計学・中央大学)。
Twitter:@taxlaw17
ブログ:https://note.com/cryptotax/

【著書】
・泉絢也『逐条解説 法人税法第22条の2 収益認識会計基準に対応する法令・通達の論点整理』(清文社2023)(単著)
・泉絢也=藤本剛平『事例でわかる! NFT・暗号資産の税務』(中央経済社2022)(共著)
・泉絢也『パブリックコメントと租税法』(日本評論社2020)(単著)
・酒井克彦編『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(ぎょうせい2019)(共著)
・松嶋 隆弘=渡邊涼介編著『仮想通貨はこう変わる!!暗号資産の法律・税務・会計』(ぎょうせい2019)(共著)

【論文】
・「仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)の譲渡による所得の譲渡所得該当性-アメリカ連邦所得税におけるキャピタルゲイン及び為替差損益の取扱いを手掛かりとして-」税法学581号3頁以下
・「NFT(ノンファンジブルトークン)の譲渡による所得は 譲渡所得か?もしそうであれば非課税所得か?」千葉商大論叢59巻3号143頁など
・「法人税法における暗号資産税制の問題点(1)・(2完)-期末時価評価課税の改正提言-」千葉商大論叢60巻1号73頁、千葉商大紀要60巻1号61頁
など多数

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