谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第18回】
「瑕疵ある法律行為等の課税上の取扱い」
-特別土地保有税「経過的事実」事件・最判平成14年12月17日判時1812号76頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前々回から課税要件事実の認定に関する問題を検討してきたが、今回は、その問題の1つとして、瑕疵ある法律行為等の課税上の取扱いの問題を取り上げることにする。これは、私法上の法律行為に瑕疵があるとき、その瑕疵に対する私法的評価ないしその効力如何が、課税要件事実の認定において考慮されるべきか否か、また、どのように考慮されるべきかという問題である(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【61】参照)。
この問題は、古くから、ドイツにおける経済的観察法に相当する実質主義ないし実質課税の原則に関連する問題として、議論されてきた(清永敬次『租税回避の研究』(ミネルヴァ書房・1995年/復刻版2015年)71頁、368頁参照)。例えば、税制調査会『国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)』(昭和36年7月)4頁は下記のとおり「実質課税の原則」規定の創設を答申し、同答申の『説明(答申別冊)』(以下『昭和36年答申別冊』という)22-24頁で「実質課税の原則に関連する問題」の1つとして「無効な法律行為又は取り消しうべき法律行為等と課税」を検討している。
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