谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第43回】
「心理的所得概念と課税所得」
-フリンジ・ベネフィット通達事件・大阪高判昭和63年3月31日訟月34巻10号2096頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
本連載は、基本的には、拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)で参照している(あるいは参照する予定の)判例の中から、同書における叙述の順に従って「税法基本判例」を取り上げ検討するものであるが(第1回Ⅰ参照)、前回までで同書第2編(税法通則)の参照判例の検討を一先ず終えて、今回からは同書第3編(所得課税法)の参照判例の中から「税法基本判例」を取り上げ検討していくことにする。
今回は、前掲拙著第3編第1章(課税物件としての所得(課税所得))の第2節(包括的所得概念と市場)で検討した心理的所得概念(同書【175】)を問題にしたものと解されるフリンジ・ベネフィット通達事件・大阪高判昭和63年3月31日判タ675号147頁(以下「昭和63年大阪高判」という)を検討することにする。
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