谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第44回】
「会計的意味における包括的所得概念と法人税法上の包括的所得概念」
-未計上資産無償譲渡[相互タクシー]事件・最判昭和41年6月24日民集20巻5号1146頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
所得税や法人税は「所得」を課税物件とする租税であり(所税7条、法税5条以下)、所得税及び法人税の課税は「所得課税」と称される。ただ、所得税法や法人税法は、課税物件としての所得(課税所得)の概念を定義することなく、実際の経済生活の中に存在する「所得」という経済的事実を課税物件として取り込んで課税所得を定めていることから、その意味内容を明らかにするには、所得税法や法人税法の個々の規定の解釈だけでなく、それらの全体構造やそれを支える基礎理論としての所得概念論の検討・解明も必要である(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【167】参照)。金子宏教授が「[租税法における]基礎理論的研究の第一歩」(同『所得概念の研究〔所得課税の基礎理論 上巻〕』(有斐閣・1995年)9頁[初出・1966年])として所得概念を研究されたのは、まさにこのような問題意識に基づくものであると考えられる。
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