谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第14回】
「要件事実論的解釈の意義と限界」
-消費税帳簿等不提示事件・最判平成16年12月20日判時1889号42頁を素材として-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
第8回では、税法における目的論的解釈に関連して課税減免規定の限定解釈について検討し、目的論的解釈のいわば「外縁」において裁判官による法創造が厳格な要件の下で許容される余地があることを論じた(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【46】も参照)。
裁判官による法創造は、そもそも、文理解釈が納税者に対して著しく不当・不合理な結果をもたらす場合には、租税法律主義の内容を形成する司法的救済保障原則(前掲拙著【27】)によって要請されると考えるべきである(同【44】、拙著『税法創造論』(清文社・2022年)119頁以下[初出・2021年]参照)。
このように、裁判官による法創造は、租税法律主義の下でも、許容ないし要請される場合があると考えるところであるが、今回は、法解釈とりわけ民事実体法の解釈において創造的機能を発揮する要件事実論が、税法とりわけ課税要件法の解釈についても妥当するかどうか、妥当するとしてそこに限界はないのか、という問題を検討する(要件事実論の法創造機能(後記Ⅲ2参照)を租税回避否認規定に関して検討したものとして前掲拙著『税法創造論』332頁以下[初出・2016年]参照)。
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