公開日: 2022/12/01 (掲載号:No.497)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例47】「経営譲渡契約に基づき発生する営業権の償却費に係る損金性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例47】

「経営譲渡契約に基づき発生する営業権の償却費に係る損金性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、東海地方において工作機械を製造・販売する株式会社Xで経理部長を務めております。あらゆる機械やその部品類は基本的に当社が扱うような工作機械によって製造されるため、工作機械は一般に「機械を作る機械」「(和製英語ですが)マザーマシン」といわれており、有力な自動車製造会社が複数存在する東海地方においては、伝統的に工作機械メーカーが多数立地しています。戦後創業した当社もその一角として、これまで順調に事業活動を展開してきました。

しかし、近年、当業界においても中国メーカーの台頭などもあって国際的な競争が激しくなり、事業再編の話がひっきりなしに飛び交っています。そんな中、数年前に、東海地方にある有力な自動車部品メーカー甲の子会社のうちの一社(乙)に関する事業譲渡の話が当社に持ち込まれました。すなわち、乙社は従業員の高齢化によりここ数年経営成績が低迷しており、甲のグループ企業再編の一環で整理する必要に迫られていたものの、甲に対して自社製造の工作機械を納入し、またそのメンテナンスを行ってきたため、今後も確実な売上が望めるという話でした。

そこで、当社は甲から乙の株式全部の譲渡を受けることとなりました。その株式譲渡価格の算定においては、乙の簿価純資産価額がほぼゼロであることを考慮しつつ、甲に対する工作機械の納入・メンテナンスの優先的な契約権があることを斟酌し、後者の価値を過去の実績から1億2,000万円と見積もりました。

当社は乙の株式の譲渡を甲から受けたのち、乙の甲に対する工作機械の納入・メンテナンスの優先的な契約権を営業権と認定して、その価格1億2,000万円を3年間にわたって均等償却し、各事業年度において損金に算入していました。

ところが先日受けた税務調査で、税務署の調査官から、甲に対する工作機械の納入・メンテナンスの優先的な契約権なるものは実体がなく、営業権と呼べるものではないため、償却費の損金算入は認められないと言い渡されました。調査官の当該主張には到底承服できないのですが、法人税法上どのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例47】

「経営譲渡契約に基づき発生する営業権の償却費に係る損金性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、東海地方において工作機械を製造・販売する株式会社Xで経理部長を務めております。あらゆる機械やその部品類は基本的に当社が扱うような工作機械によって製造されるため、工作機械は一般に「機械を作る機械」「(和製英語ですが)マザーマシン」といわれており、有力な自動車製造会社が複数存在する東海地方においては、伝統的に工作機械メーカーが多数立地しています。戦後創業した当社もその一角として、これまで順調に事業活動を展開してきました。

しかし、近年、当業界においても中国メーカーの台頭などもあって国際的な競争が激しくなり、事業再編の話がひっきりなしに飛び交っています。そんな中、数年前に、東海地方にある有力な自動車部品メーカー甲の子会社のうちの一社(乙)に関する事業譲渡の話が当社に持ち込まれました。すなわち、乙社は従業員の高齢化によりここ数年経営成績が低迷しており、甲のグループ企業再編の一環で整理する必要に迫られていたものの、甲に対して自社製造の工作機械を納入し、またそのメンテナンスを行ってきたため、今後も確実な売上が望めるという話でした。

そこで、当社は甲から乙の株式全部の譲渡を受けることとなりました。その株式譲渡価格の算定においては、乙の簿価純資産価額がほぼゼロであることを考慮しつつ、甲に対する工作機械の納入・メンテナンスの優先的な契約権があることを斟酌し、後者の価値を過去の実績から1億2,000万円と見積もりました。

当社は乙の株式の譲渡を甲から受けたのち、乙の甲に対する工作機械の納入・メンテナンスの優先的な契約権を営業権と認定して、その価格1億2,000万円を3年間にわたって均等償却し、各事業年度において損金に算入していました。

ところが先日受けた税務調査で、税務署の調査官から、甲に対する工作機械の納入・メンテナンスの優先的な契約権なるものは実体がなく、営業権と呼べるものではないため、償却費の損金算入は認められないと言い渡されました。調査官の当該主張には到底承服できないのですが、法人税法上どのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

● 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説【事例1~40】

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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