[9] 連結納税に係る別表様式の改正(別表4の「被合併法人等の最終の事業年度の欠損金の損金算入額」(26欄)の追加)
平成31年度税制改正を踏まえた別表様式の見直しにおいて、旧別表4の「仮計」(25欄)と「寄附金の損金不算入額」(26欄)の間に、これまで別表4の2(付表を含む)のみにあった「被合併法人等の最終の事業年度の欠損金の損金算入額」(26欄)が追加された。
これは、「法人税法施行令第112条第20項」が適用される場合を想定しているものと思われる。
それが適用されるケースを説明するにあたって、まず、法人税法第81条第4項について解説することとする。
同項では、『連結法人間の合併について、合併日の前日の属する事業年度(合併日が連結親法人事業年度開始日である場合を除く)の連結法人の単体申告において発生した被合併法人(他の連結子法人)の個別欠損金額を、合併法人(連結法人)の合併日の属する連結事業年度(連結申告)で損金に算入する』という取扱いを定めている。
そして、その合併法人(連結法人)における損金算入額を記載する項目として、別表4の2(付表を含む)に「被合併法人等の最終の事業年度の欠損金の損金算入額」(今回の別表様式の改正で、7欄から34欄に移動している)が設けられている。
なお、被合併法人等の「等」については残余財産の確定においても同様の取扱いとなっているため、残余財産確定法人を含めるという意味である(この場合、合併日の前日=残余財産の確定日、被合併法人=残余財産確定法人、合併法人=残余財産確定法人の株主、という読み替えになる)。
そして、今回、別表4に追加された「被合併法人等の最終の事業年度の欠損金の損金算入額」(26欄)については、従来から法人税法第81条第4項と同様の趣旨で設けられている法人税法施行令第112条第20項が適用される場合に記載されることになると思われる。
具体的には、法人税法施行令第112条第20項は、期中に2度、連結内で合併をした場合に適用される。
例えば、連結親法人P社⇒連結子法人A社⇒連結子法人B社、という資本関係で(その他にも連結子法人が存在し、連結親法人P社は決算日を3月31日とする)、
① 7月1日に連結子法人B社が連結子法人A社に吸収合併される。
② 1月1日に連結子法人A社が連結親法人P社に吸収合併される。
この場合、①及び②は共に、被合併法人(①:B社、②:A社)では、最終事業年度は連結法人の単体申告となるが、このとき、①で発生した連結子法人B社の欠損金額を、法人税法施行令第112条第20項の適用により、連結子法人A社の②の連結法人の単体申告において損金に算入することになる。
この場合、連結子法人A社で損金算入される連結子法人B社の欠損金額を今回追加された26欄に社外流出で記載することになる。
これは、連結法人間の残余財産の確定の場合(①②のいずれも残余財産の確定の場合、あるいは、①②のいずれかが残余財産の確定、いずれかが合併の場合)においても同様となる。
〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
地方法法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
平成31年所法等改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)
(例)法法57⑪三・・・法人税法57条11項3号
(連載了)
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