[12] グループ内の税金精算(税効果相当額の授受)
内国法人が他の内国法人との間で通算税効果額を授受する場合には、その授受する金額は、益金の額及び損金の額に算入しない(法法26④、38③)。「通算税効果額」とは、グループ通算制度を適用することにより減少する法人税及び地方法人税の額に相当する金額として内国法人間で授受される金額をいう。
この点、連結納税制度と同様に、税務上は、グループ内で税金精算をするかどうかは任意となる。
一方、会計上は、通算税効果額をグループ内で精算することによって、連結納税制度と同様に、純粋に自己の税負担額又は税減少額、つまり、連結納税制度における連結法人税の個別帰属額を損益計算書において「法人税、住民税及び事業税」とすることができる。
また、繰延税金資産の回収可能性についても連結納税制度と同様にグループ内の他の法人の所得の金額を含めて判断することができることになる。
そのため、実務上は、グループ通算制度においてもグループ内の税金精算(税効果相当額の授受)が行われることになるだろう。
この場合、実務上は、連結納税制度と同様に、税効果相当額の授受は通算親法人を通じて行うことになると考えられる。
なお、グループ内の税金精算額については、連結納税制度では連結法人税の個別帰属額を連結親法人と連結子法人との間でやり取りしているが、グループ通算制度では通算税効果額を別途計算する必要があり、その点で事務負担が増えることになる。
〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
地方法法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
令和2年所法等改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第8号)
(例)法法57⑪三・・・法人税法57条11項3号
(了)
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