公開日: 2022/12/22 (掲載号:No.500)
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谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第21回】「租税回避の法的評価とリベラルな租税回避観」-住所国外移転[武富士]事件・最判平成23年2月18日訟月50巻3号864頁-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第21回】

「租税回避の法的評価とリベラルな租税回避観」

-住所国外移転[武富士]事件・最判平成23年2月18日訟月50巻3号864頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回は租税回避の意義と類型について検討したが、これに関連して今回はその法的評価(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」第24回参照)について検討することにしよう。筆者は租税回避の法的評価を、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義(前回参照)の中に、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【66】)という形で採り入れ、その定義を示している。

租税回避はこのように「適法」と「不当」という異なる法的評価を受けるべきものであるが、今回は主として租税回避の適法性について検討することとし、租税回避の不当性については、租税回避の適法性との関係で言及するにとどめ、それ自体の検討は、後の回で実定税法上の租税回避否認規定(同族会社の行為計算否認規定等)の否認要件のうちいわゆる不当性要件に関する判例分析を通じて、行うことにしたい。租税回避の不当性は、後ので述べるように、専ら租税立法において考慮し具体化・実現すべきものと考えるからである。

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税法基本判例

【第21回】

「租税回避の法的評価とリベラルな租税回避観」

-住所国外移転[武富士]事件・最判平成23年2月18日訟月50巻3号864頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回は租税回避の意義と類型について検討したが、これに関連して今回はその法的評価(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」第24回参照)について検討することにしよう。筆者は租税回避の法的評価を、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義(前回参照)の中に、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【66】)という形で採り入れ、その定義を示している。

租税回避はこのように「適法」と「不当」という異なる法的評価を受けるべきものであるが、今回は主として租税回避の適法性について検討することとし、租税回避の不当性については、租税回避の適法性との関係で言及するにとどめ、それ自体の検討は、後の回で実定税法上の租税回避否認規定(同族会社の行為計算否認規定等)の否認要件のうちいわゆる不当性要件に関する判例分析を通じて、行うことにしたい。租税回避の不当性は、後ので述べるように、専ら租税立法において考慮し具体化・実現すべきものと考えるからである。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」

第1回~第20回

第21回~

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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