谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第21回】
「租税回避の法的評価とリベラルな租税回避観」
-住所国外移転[武富士]事件・最判平成23年2月18日訟月50巻3号864頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前回は租税回避の意義と類型について検討したが、これに関連して今回はその法的評価(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」第24回参照)について検討することにしよう。筆者は租税回避の法的評価を、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義(前回Ⅱ参照)の中に、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【66】)という形で採り入れ、その定義を示している。
租税回避はこのように「適法」と「不当」という異なる法的評価を受けるべきものであるが、今回は主として租税回避の適法性について検討することとし、租税回避の不当性については、租税回避の適法性との関係で言及するにとどめ、それ自体の検討は、後の回で実定税法上の租税回避否認規定(同族会社の行為計算否認規定等)の否認要件のうちいわゆる不当性要件に関する判例分析を通じて、行うことにしたい。租税回避の不当性は、後のⅢで述べるように、専ら租税立法において考慮し具体化・実現すべきものと考えるからである。
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