公開日: 2016/06/30 (掲載号:No.175)
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被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔経営面のアドバイス〕 【第3回】「資金繰りの検討(その2)」~公的支援としての失業給付・雇用調整助成金~

筆者: 中谷 敏久

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被災したクライアント企業への

実務支援のポイント

〔経営面のアドバイス〕

【第3回】

「資金繰りの検討(その2)」

~公的支援としての失業給付・雇用調整助成金~

 

公認会計士・税理士 中谷 敏久

 

復旧予定時期が長期間に及び、従業員給料等の固定費を負担すると資金繰りが破綻すると予想される場合、経営者にとっては誠に辛いことであるが、従業員を休業あるいは一旦解雇し、公的支援によって従業員の最低限の生活を保障してもらいながら会社の再建に尽力する。

そして再建後に従業員を再雇用することのほうが、会社と従業員の双方にとってより望ましい結果となる場合がある。

公的支援としての失業給付と雇用調整助成金のポイントは以下のとおり。

(1) 失業給付

被災地の事業所が災害により休止・廃止したために、賃金が支払われないか、あるいは一時的に離職した場合に失業給付を受給するというものである。

【給付対象者】

・災害救助法の指定地域にある事業所が災害により休止・廃止したために、休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない方、又は、一時的に離職を余儀なくされた方

・雇用保険に6ヶ月以上加入している等の要件を充たす方

【失業給付額】
〈参考例〉

・年齢:30歳以上45歳未満

・勤続年数:10年以上20年未満

・平均月給:30万円

・退職理由:会社都合

・失業給付総額:1,197,420円

【窓口】
ハローワーク

▷留意事項

・事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、失業給付は受給できる。

・本特別措置制度を利用して、失業給付を受けた方については、休業が終了し、雇用保険被保険者資格を取得しても、当該休業前の雇用保険の被保険者であった期間は通算されない。

・勤務していた事業所から、「雇用保険被保険者休業票」又は「雇用保険被保険者離職票」を発行してもらう必要がある。ただし、受給手続に必要なこれらの確認書類がない場合でも、ハローワークに相談することによって手続を行うことができる場合がある。

(2) 雇用調整助成金

被災などに伴う経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業等を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当などの一部を助成するというものである。

【支給対象者】
被災などに伴う「経済上の理由」により休業等を余儀なくされた雇用保険適用事業所の事業主
〈「経済上の理由」の例〉

・取引先の地震被害のため、原材料や商品等の取引ができない場合

・交通手段の途絶により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができない場合

・電気ガス水道等の供給停止や通信の途絶により、営業ができない場合

・風評被害により、観光客が減少した場合

・事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や修理部品の調達が困難なため、早期の修復が不可能であることによる事業活動の阻害

【助成額】
労働者に支払った休業手当相当額の3分の2(中小企業)、又は2分の1(大企業)

【窓口】
ハローワーク

▷留意事項

・実際に休業を行う判定基礎期間ごとに事前に計画届を提出することが必要

・支給申請期間は判定基礎期間終了後、2ヶ月以内

・最近3ヶ月の生産量、売上高等の生産指票が前年同月と比べて10%以上減少していること

・実施する休業等が労使協定に基づくものであること

・被災地以外の事業でも利用可能

(了)

次回からは「会計面におけるアドバイス」がスタートします。

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

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被災したクライアント企業への

実務支援のポイント

〔経営面のアドバイス〕

【第3回】

「資金繰りの検討(その2)」

~公的支援としての失業給付・雇用調整助成金~

 

公認会計士・税理士 中谷 敏久

 

復旧予定時期が長期間に及び、従業員給料等の固定費を負担すると資金繰りが破綻すると予想される場合、経営者にとっては誠に辛いことであるが、従業員を休業あるいは一旦解雇し、公的支援によって従業員の最低限の生活を保障してもらいながら会社の再建に尽力する。

そして再建後に従業員を再雇用することのほうが、会社と従業員の双方にとってより望ましい結果となる場合がある。

公的支援としての失業給付と雇用調整助成金のポイントは以下のとおり。

(1) 失業給付

被災地の事業所が災害により休止・廃止したために、賃金が支払われないか、あるいは一時的に離職した場合に失業給付を受給するというものである。

【給付対象者】

・災害救助法の指定地域にある事業所が災害により休止・廃止したために、休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない方、又は、一時的に離職を余儀なくされた方

・雇用保険に6ヶ月以上加入している等の要件を充たす方

【失業給付額】
〈参考例〉

・年齢:30歳以上45歳未満

・勤続年数:10年以上20年未満

・平均月給:30万円

・退職理由:会社都合

・失業給付総額:1,197,420円

【窓口】
ハローワーク

▷留意事項

・事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、失業給付は受給できる。

・本特別措置制度を利用して、失業給付を受けた方については、休業が終了し、雇用保険被保険者資格を取得しても、当該休業前の雇用保険の被保険者であった期間は通算されない。

・勤務していた事業所から、「雇用保険被保険者休業票」又は「雇用保険被保険者離職票」を発行してもらう必要がある。ただし、受給手続に必要なこれらの確認書類がない場合でも、ハローワークに相談することによって手続を行うことができる場合がある。

(2) 雇用調整助成金

被災などに伴う経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業等を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当などの一部を助成するというものである。

【支給対象者】
被災などに伴う「経済上の理由」により休業等を余儀なくされた雇用保険適用事業所の事業主
〈「経済上の理由」の例〉

・取引先の地震被害のため、原材料や商品等の取引ができない場合

・交通手段の途絶により、来客がない、従業員が出勤できない、物品の配送ができない場合

・電気ガス水道等の供給停止や通信の途絶により、営業ができない場合

・風評被害により、観光客が減少した場合

・事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や修理部品の調達が困難なため、早期の修復が不可能であることによる事業活動の阻害

【助成額】
労働者に支払った休業手当相当額の3分の2(中小企業)、又は2分の1(大企業)

【窓口】
ハローワーク

▷留意事項

・実際に休業を行う判定基礎期間ごとに事前に計画届を提出することが必要

・支給申請期間は判定基礎期間終了後、2ヶ月以内

・最近3ヶ月の生産量、売上高等の生産指票が前年同月と比べて10%以上減少していること

・実施する休業等が労使協定に基づくものであること

・被災地以外の事業でも利用可能

(了)

次回からは「会計面におけるアドバイス」がスタートします。

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連載目次

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被災したクライアント企業への
実務支援のポイント

【経営面のアドバイス

(公認会計士・税理士 中谷敏久)

【会計面のアドバイス

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)
(公認会計士・税理士 新名貴則)
(公認会計士 深谷玲子)

【労務面のアドバイス

(特定社会保険労務士・中小企業診断士 小宮山敏恵)

【税務面(法人税・消費税)のアドバイス】

(公認会計士・税理士 新名貴則)

【税務面(所得税)のアドバイス】

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)

【法務面のアドバイス】

(弁護士 岨中良太)

【ケーススタディQ&A】

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)

(公認会計士・税理士 深谷玲子)

筆者紹介

中谷 敏久

(なかたに・としひさ)

公認会計士・税理士
監査法人マーキュリー 代表社員

昭和37年3月生まれ。昭和61年一橋大学商学部卒業。
平成元年公認会計士登録。平成24年税理士登録。平成26年宅地建物取引士登録。
あずさ監査法人退職後、平成24年監査法人マーキュリーを設立し代表社員就任。
平成26年リゾートトラスト株式会社(東証1部)の社外取締役就任。

現在、会計監査、税務コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務等に取り組んでいる。

監査法人マーキュリー

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