公開日: 2017/11/22 (掲載号:No.245)
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被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のQ&A〕 【Q1】「納税地の異動」

筆者: 篠藤 敦子

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被災したクライアント企業への

実務支援のポイント

〔税務面(所得税)のQ&A〕

【Q1】

「納税地の異動」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

〈Q〉

本年(×2年)1月に発生した地震により、自宅が全壊する被害を受けた。被災した自宅のあるA市は、国税庁告示により地震発生日以降に到来する国税の申告・納付等の期限が延長されている(地域指定による期限延長措置)。

×2年2月末に、A市から期限延長の指定地域外にあるB市へ転居しているが、全壊した自宅から必要書類を持ち出すことができないため、×1年分の確定申告を申告期限(×2年3月15日)までに行うことは難しい状況である。

A市に居住しているときに被災しているので、×1年分の確定申告は地域指定による期限延長措置の対象となり、申告期限は自動的に延長されるのか。

 

〈A〉

×1年分の確定申告は、指定地域外にあるB市へ転居した後に期限が到来するため、地域指定による期限延長措置の対象とはならない。したがって、×1年分の確定申告書の提出期限は、原則として×2年3月15日となる。

ただし、転居後の納税地において個別に所定の手続を行い、税務署長の承認を得ることができれば、税務署長が指定する日まで申告・納付等の期限が延長される(個別指定による期限延長措置)。

解 説

地域指定による期限延長が措置される場合には、国税庁告示により対象地域や期日が指定される。国税庁告示では、期限が延長される申告・納付等は「指定地域に国税の納税地を有する者に係るもの」に限定されている。

本事例において、転居前に申告・納付等の期限が到来する国税がある場合には、その国税は指定地域に納税地があることから、地域指定による期限延長措置の対象となる(通法11、通令3①)。一方、転居後に申告・納付等の期限が到来する国税については、指定地域に納税地を有していないため、地域指定による期限延長措置の対象とはならない。

ただし、地域指定による期限延長措置の対象とならない場合でも、転居先の所轄税務署長に対して「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し承認を受ければ、税務署長が指定する日まで申告・納付等の期限が個別に延長される。

なお、一時的に指定地域外に避難しているような場合には、引き続き指定地域内に納税地があるものとして、地域指定による期限延長措置の対象になると考えられる(※)

(※) 「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」には、「一時的に指定地域外に避難しているような場合には、引き続き指定地域内に住所があるものと考えられる」と示されている。


〔凡例〕
通法・・・国税通則法
通令・・・国税通則法施行令
(例)通令3①・・・国税通則法施行令3条1項

(了)

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被災したクライアント企業への

実務支援のポイント

〔税務面(所得税)のQ&A〕

【Q1】

「納税地の異動」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

〈Q〉

本年(×2年)1月に発生した地震により、自宅が全壊する被害を受けた。被災した自宅のあるA市は、国税庁告示により地震発生日以降に到来する国税の申告・納付等の期限が延長されている(地域指定による期限延長措置)。

×2年2月末に、A市から期限延長の指定地域外にあるB市へ転居しているが、全壊した自宅から必要書類を持ち出すことができないため、×1年分の確定申告を申告期限(×2年3月15日)までに行うことは難しい状況である。

A市に居住しているときに被災しているので、×1年分の確定申告は地域指定による期限延長措置の対象となり、申告期限は自動的に延長されるのか。

 

〈A〉

×1年分の確定申告は、指定地域外にあるB市へ転居した後に期限が到来するため、地域指定による期限延長措置の対象とはならない。したがって、×1年分の確定申告書の提出期限は、原則として×2年3月15日となる。

ただし、転居後の納税地において個別に所定の手続を行い、税務署長の承認を得ることができれば、税務署長が指定する日まで申告・納付等の期限が延長される(個別指定による期限延長措置)。

解 説

地域指定による期限延長が措置される場合には、国税庁告示により対象地域や期日が指定される。国税庁告示では、期限が延長される申告・納付等は「指定地域に国税の納税地を有する者に係るもの」に限定されている。

本事例において、転居前に申告・納付等の期限が到来する国税がある場合には、その国税は指定地域に納税地があることから、地域指定による期限延長措置の対象となる(通法11、通令3①)。一方、転居後に申告・納付等の期限が到来する国税については、指定地域に納税地を有していないため、地域指定による期限延長措置の対象とはならない。

ただし、地域指定による期限延長措置の対象とならない場合でも、転居先の所轄税務署長に対して「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し承認を受ければ、税務署長が指定する日まで申告・納付等の期限が個別に延長される。

なお、一時的に指定地域外に避難しているような場合には、引き続き指定地域内に納税地があるものとして、地域指定による期限延長措置の対象になると考えられる(※)

(※) 「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」には、「一時的に指定地域外に避難しているような場合には、引き続き指定地域内に住所があるものと考えられる」と示されている。

〔凡例〕
通法・・・国税通則法
通令・・・国税通則法施行令
(例)通令3①・・・国税通則法施行令3条1項

(了)

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連載目次

被災したクライアント企業への
実務支援のポイント

【経営面のアドバイス

(公認会計士・税理士 中谷敏久)

【会計面のアドバイス

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)
(公認会計士・税理士 新名貴則)
(公認会計士 深谷玲子)

【労務面のアドバイス

(特定社会保険労務士・中小企業診断士 小宮山敏恵)

【税務面(法人税・消費税)のアドバイス】

(公認会計士・税理士 新名貴則)

【税務面(所得税)のアドバイス】

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)

【法務面のアドバイス】

(弁護士 岨中良太)

【ケーススタディQ&A】

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)

(公認会計士・税理士 深谷玲子)

筆者紹介

篠藤 敦子

(しのとう・あつこ)

公認会計士・税理士

津田塾大学卒業
1989年 公認会計士試験第二次試験合格
1994年 朝日監査法人(現 あずさ監査法人)退社後、個人事務所を開業し、会計と税務実務に従事。
2008年より甲南大学社会科学研究科会計専門職専攻教授(2016年3月まで)
2010年より大阪電気通信大学金融経済学部非常勤講師

【著書等】
・『マンガと図解/新・くらしの税金百科』共著(清文社)
・『会計学実践講義』共著
・『日商簿記1級徹底対策ドリル 商業簿記・会計学編』共著(以上、同文舘出版)
・『148の事例から見た是否認事項の判断ポイント』共著(税務経理協会)
・「不動産取引を行った場合」『税経通信』2012年3月号(103-109頁)

【過去に担当した研修、セミナー】
SMBCコンサルティング、日本経済新聞社、日本賃金研究センター
社団法人大阪府工業協会、西日本旅客鉄道株式会社、社団法人埼玉県経営者協会
大阪法務局

関連書籍

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公認会計士 石王丸周夫 著

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岡 拓也 編

金融・投資商品の税務Q&A

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【電子書籍版】税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 馬詰政美 著公認会計士・税理士 菊地弘 著公認会計士・税理士 井村奨 著特定社会保険労務士 佐竹康男 著特定社会保険労務士 井村佐都美 著

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公益財団法人 納税協会連合会 編

税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 馬詰政美 著公認会計士・税理士 菊地弘 著公認会計士・税理士 井村奨 著特定社会保険労務士 佐竹康男 著特定社会保険労務士 井村佐都美 著

令和4年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

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