公開日: 2017/11/30 (掲載号:No.246)
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被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔税務面(所得税)のQ&A〕 【Q2】「個別指定による期限延長措置」

筆者: 篠藤 敦子

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被災したクライアント企業への

実務支援のポイント

〔税務面(所得税)のQ&A〕

【Q2】

「個別指定による期限延長措置」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

〈Q〉

本年(×2年)1月に発生した地震によって自宅が全壊する被害を受け、×2年2月末に被災地から離れた地域に転居した。年末調整を受けた給与所得の他に不動産所得があることから毎年確定申告しているが、×1年分については必要な資料を直ちにそろえることができず、期限までに申告することが難しい状況である。

現在住んでいる地域は、地域指定による期限延長措置の対象となっていないので、個別指定による期限延長措置の適用を受けたい。どのような手続が必要か。

 

〈A〉

個別指定による期限延長措置の適用を受けるには、転居後の納税地を管轄する税務署長に対し、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、承認を受ける必要がある。この申請書は、災害のやんだ日から相当の期間内に提出することとされている。

申請書が提出されると、税務署長は、災害のやんだ日から2ヶ月以内の期日を指定して申告等の期限を延長する。

解 説

納税地が地域指定による期限延長措置の対象になっていない場合でも、被災したことにより期限までに国税に関する申告や納付等ができないことがある。この場合には、納税地を管轄する税務署長から個別に承認を受けることにより、申告・納付等の期限を延長することができる(通法11、通令3②)。

個別に承認を受けるには、納税地を所轄する税務署長に対し、所定の事項を記載した申請書を提出する(通令3③)。

〈個別指定による期限延長措置を受けるための手続〉

申請書名:「災害による申告、納付等の期限延長申請書

提 出 先:納税地を管轄する税務署長

提出期限:災害のやんだ日から相当の期間内

原則として1ヶ月以内

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すると、税務署長が指定した日(災害のやんだ日から2ヶ月以内)まで申告・納付等の期限が延長される。

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」【記載例】

※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。

〈参考〉

実務的な取扱いとして、「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」(以下、「情報」という)によると、所得税の申告等を延長したい場合は、「所得税の申告等の期限延長申請書」を使用してもよいとされている

また、申告を行う際、申告書に「大震災により被害を受けたため、申告書の提出期限及び納付期限の延長を申請する。」旨を付記することにより、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出に代えることもできると示されている(「平成28年4月の熊本地震災害により被害を受けられた方の税務上の措置(手続)FAQ」にも同様の記述がある)。

※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。

なお、災害のやんだ日とは、個別指定による期限の延長を受けようとしている人が、税務上の申告・納付等の行為をするのに差し支えないと客観的に認められる程度の状態に復した日をいうとされ、「情報」では、例として以下の日が挙げられている。

▷災害のやんだ日(例)

① 災害により直接被災した場合には、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態になった日

② 交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日

地震により被災した場合であれば、余震も収まり復旧に向けた活動ができるようになった日やその地域の鉄道が運行を始めた日、台風による浸水被害の場合であれば、家屋から水が引いた日等が該当すると考えられる。

〔凡例〕
通法・・・国税通則法
通令・・・国税通則法施行令
(例)通令3①・・・国税通則法施行令3条1項

(了)

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被災したクライアント企業への

実務支援のポイント

〔税務面(所得税)のQ&A〕

【Q2】

「個別指定による期限延長措置」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

〈Q〉

本年(×2年)1月に発生した地震によって自宅が全壊する被害を受け、×2年2月末に被災地から離れた地域に転居した。年末調整を受けた給与所得の他に不動産所得があることから毎年確定申告しているが、×1年分については必要な資料を直ちにそろえることができず、期限までに申告することが難しい状況である。

現在住んでいる地域は、地域指定による期限延長措置の対象となっていないので、個別指定による期限延長措置の適用を受けたい。どのような手続が必要か。

 

〈A〉

個別指定による期限延長措置の適用を受けるには、転居後の納税地を管轄する税務署長に対し、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、承認を受ける必要がある。この申請書は、災害のやんだ日から相当の期間内に提出することとされている。

申請書が提出されると、税務署長は、災害のやんだ日から2ヶ月以内の期日を指定して申告等の期限を延長する。

解 説

納税地が地域指定による期限延長措置の対象になっていない場合でも、被災したことにより期限までに国税に関する申告や納付等ができないことがある。この場合には、納税地を管轄する税務署長から個別に承認を受けることにより、申告・納付等の期限を延長することができる(通法11、通令3②)。

個別に承認を受けるには、納税地を所轄する税務署長に対し、所定の事項を記載した申請書を提出する(通令3③)。

〈個別指定による期限延長措置を受けるための手続〉

申請書名:「災害による申告、納付等の期限延長申請書

提 出 先:納税地を管轄する税務署長

提出期限:災害のやんだ日から相当の期間内

原則として1ヶ月以内

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すると、税務署長が指定した日(災害のやんだ日から2ヶ月以内)まで申告・納付等の期限が延長される。

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」【記載例】

※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。

〈参考〉

実務的な取扱いとして、「東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)」(以下、「情報」という)によると、所得税の申告等を延長したい場合は、「所得税の申告等の期限延長申請書」を使用してもよいとされている

また、申告を行う際、申告書に「大震災により被害を受けたため、申告書の提出期限及び納付期限の延長を申請する。」旨を付記することにより、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出に代えることもできると示されている(「平成28年4月の熊本地震災害により被害を受けられた方の税務上の措置(手続)FAQ」にも同様の記述がある)。

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なお、災害のやんだ日とは、個別指定による期限の延長を受けようとしている人が、税務上の申告・納付等の行為をするのに差し支えないと客観的に認められる程度の状態に復した日をいうとされ、「情報」では、例として以下の日が挙げられている。

▷災害のやんだ日(例)

① 災害により直接被災した場合には、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態になった日

② 交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日

地震により被災した場合であれば、余震も収まり復旧に向けた活動ができるようになった日やその地域の鉄道が運行を始めた日、台風による浸水被害の場合であれば、家屋から水が引いた日等が該当すると考えられる。

〔凡例〕
通法・・・国税通則法
通令・・・国税通則法施行令
(例)通令3①・・・国税通則法施行令3条1項

(了)

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被災したクライアント企業への
実務支援のポイント

【経営面のアドバイス

(公認会計士・税理士 中谷敏久)

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【税務面(法人税・消費税)のアドバイス】

(公認会計士・税理士 新名貴則)

【税務面(所得税)のアドバイス】

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)

【法務面のアドバイス】

(弁護士 岨中良太)

【ケーススタディQ&A】

(公認会計士・税理士 篠藤敦子)

(公認会計士・税理士 深谷玲子)

筆者紹介

篠藤 敦子

(しのとう・あつこ)

公認会計士・税理士

津田塾大学卒業
1989年 公認会計士試験第二次試験合格
1994年 朝日監査法人(現 あずさ監査法人)退社後、個人事務所を開業し、会計と税務実務に従事。
2008年より甲南大学社会科学研究科会計専門職専攻教授(2016年3月まで)
2010年より大阪電気通信大学金融経済学部非常勤講師

【著書等】
・『マンガと図解/新・くらしの税金百科』共著(清文社)
・『会計学実践講義』共著
・『日商簿記1級徹底対策ドリル 商業簿記・会計学編』共著(以上、同文舘出版)
・『148の事例から見た是否認事項の判断ポイント』共著(税務経理協会)
・「不動産取引を行った場合」『税経通信』2012年3月号(103-109頁)

【過去に担当した研修、セミナー】
SMBCコンサルティング、日本経済新聞社、日本賃金研究センター
社団法人大阪府工業協会、西日本旅客鉄道株式会社、社団法人埼玉県経営者協会
大阪法務局

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