[7] 株式対価M&Aを促進するための措置の創設
令和3年度税制改正では、買収会社(株式交付親会社)の自社株式等を対価とするM&Aに係る対象会社(株式交付子会社)の株主について、会社法の見直しにより新たに創設された「株式交付制度」を活用した機動的な事業再構築を促すため、譲渡した対象会社株式(株式交付子会社株式)に係る譲渡損益の計上を繰り延べる株式交付税制が創設されている。連結納税制度においても、連結法人が株式交付子会社の株主となる場合に、その譲渡した株式交付子会社株式に係る譲渡損益の計上を繰り延べることになる(新措法68の86①)(注1)。
(注1) 対価として交付を受けた資産の価額のうち株式交付親会社株式の価額が80%以上である場合に限ることとし、株式交付親会社株式以外の資産の交付を受けた場合には株式交付親会社株式に対応する部分の譲渡損益の計上を繰り延べる。
この場合、交付を受けた株式交付親会社株式の取得価額は、株式交付子会社株式の譲渡直前の帳簿価額に株式交付割合(注2)を乗じて計算した金額とする(新措令39の110①)。
(注2) 株式交付割合とは、交付を受けた株式交付親会社株式の価額が交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額(剰余金の配当として交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額を除く)のうちに占める割合をいう。
また、連結法人が株式交付親会社となる場合に、株式交付制度で取得した株式交付子会社株式の取得価額は、①株式交付子会社株式を50人未満の株式交付子会社の株主から取得をした場合、その株主が有していた株式交付子会社株式のその取得の直前における帳簿価額に相当する金額とし、②株式交付子会社株式を50人以上の株式交付子会社の株主から取得をした場合、株式交付子会社の前期期末時(株式交付子会社の取得の日を含む事業年度の前事業年度)の税務上の簿価純資産価額にその取得した株式交付子会社株式の持株割合を乗じた金額とする(新措令39の110②、新措規22の73の2)(注3)。
(注3) 対価として交付した資産の価額のうち株式交付親会社株式の価額が80%以上である場合に限ることとし、株式交付親会社株式以外の資産の交付をした場合には、①又は②の金額に株式交付割合を乗じた金額にその株式以外の資産の価額を合計した金額とする。なお、株式交付子会社株式の取得価額に対応して資本金等の額が増加することになる(新措令39の110②)。
なお、令和3年4月1日以後に行われる株式交付について適用される(令和3年所法等改正法附則1、69)。