連結納税適用法人のための
平成27年度税制改正
【第8回】
「地方拠点強化税制の創設(その2)」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト パートナー
足立 好幸
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(3) 雇用促進税制の拡充(措法68の15の3、措令39の45の2)
今回の改正により、①現行の雇用促進税制に加えて、次の②及び③を上乗せすることとなった。
① 現行の雇用促進税制
現行の連結納税制度に係る雇用促進税制は、連結法人のすべて又は連結グループ全体で[要件1]~[要件5]を満たした場合に、連結グループ全体の増加雇用者数に40万円を乗じた金額を連結税額控除額とし、各連結法人の増加雇用者数の割合によって個別帰属額を計算することとなる。
具体的には、連結法人が、適用年度(注1)において、次に掲げる要件のすべてを満たす場合には、適用年度の連結法人税額から、40万円に連結親法人及び各連結子法人の基準雇用者数(注2)の合計(注3)を乗じて計算した金額(税額控除限度額)を控除する(措法68の15の3①)。
この場合において、税額控除限度額が、連結法人税額の10%(連結親法人が中小連結親法人である場合には、20%)に相当する金額を超えるときは、税額控除額はその10%相当額を限度とする(措法68の15の3①)。
(注1)
適用年度は、連結親法人事業年度が平成23年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各連結事業年度に限る。
(注2)
基準雇用者数とは、連結親法人又は各連結子法人ごとに、適用年度に係る連結親法人事業年度終了日における雇用者の数から連結親法人事業年度開始日の前日における雇用者(連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者を除く)の数を減算した数をいう(措法68の15の3⑤四。以下、(3)で同じ)。
(注3)
適用年度において、次の「②地方拠点強化実施計画の雇用促進税制」の適用を受ける場合は、連結親法人及び各連結子法人の地方事業所基準雇用者数の合計を控除した数とする。
これは、今回の改正で創設された「②地方拠点強化実施計画の雇用促進税制」(50万円/数)が適用される雇用者数については、現行の雇用促進税制(40万円/数)の適用を除外するための調整である。
[要件1]
連結親法人及び各連結子法人が雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業を行っていること。
[要件2]
適用年度に係る連結事業年度及び前連結事業年度(※1)において、連結親法人及び各連結子法人に事業主都合による離職者がいないこと(措法68の15の3⑦、措規22の29④)。
[要件3]
連結親法人及び各連結子法人の基準雇用者数の合計が5人以上(連結親法人が中小連結親法人である場合には、2人以上)であること。
[要件4]
基準雇用者割合(※2)が10%以上であること。
あるいは、連結親法人及び各連結子法人の適用年度に係る連結親法人事業年度開始日の前日における雇用者(連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者(※3)に該当する者を除く)の数の合計が0であること。
[要件5]
連結親法人及び各連結子法人の給与等支給額(※4)の合計額が比較給与等支給額(※5)の合計額(連結親法人及び各連結子法人の比較給与等支給額を合計した金額)以上であること。
(※1) 前連結事業年度とは、適用年度に係る連結事業年度開始日前1年以内に開始した各連結事業年度又は各事業年度をいう(以下、(※5)に同じ)。
(※2) 基準雇用者割合とは、連結親法人及び各連結子法人の基準雇用者数の合計の適用年度に係る連結事業年度開始日の前日における連結親法人及び各連結子法人の雇用者数(適用年度に係る連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者を除く)の合計に対する割合をいう(措法68の15の3⑤六)。
(※3) 高年齢雇用者とは、連結親法人又は連結子法人の使用人のうち高年齢継続被保険者(雇用保険法第37条の2第1項に規定する高年齢継続被保険者)に該当するものをいう(措法68の15の3⑤三)。
(※4) 給与等支給額とは、連結親法人又は連結子法人の給与等の支給額(その給与等に充てるため他の者(他の連結法人を含む)から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)のうち適用年度の連結所得金額の計算上損金の額に算入される金額(適用年度に係る連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者に係るものを除く)をいう(措法68の15の3⑤八)。
(※5) 比較給与等支給額とは、連結親法人又は各連結子法人ごとに、次の算式により計算した額をいう(措法68の15の3⑤七)。
(*1) 給与等の支給額とは、給与等の支給額のうち、連結所得の金額の計算上損金の額に算入される金額をいう。また、前連結事業年度と適用年度の月数が異なる場合は所要の調整を行う。
(*2) 前連結事業年度の給与等の支給額には、適用年度に係る連結親法人事業年度終了日において高年齢雇用者に該当する者に対する支給額は含まれない。
(*3) 前連結事業年度とは、適用年度に係る連結親法人事業年度開始日の1年前の日から適用年度開始日の前日までの期間内に開始した各連結事業年度又は各事業年度をいう。
(*4) 適用年度に係る連結親法人事業年度開始日の前日における雇用者数が0である場合には、次の算式により計算した額が比較給与等支給額となる。
また、この制度の適用を受けるためには、連結親法人の事務所の所在地を管轄する都道府県労働局又は公共職業安定所に連結親法人及び各連結子法人の雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で、[要件2]~[要件4]までの要件についての確認を受け、その際交付される連結親法人及び各連結子法人の雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しを連結確定申告書に添付する必要がある(措令39の45の3①、措規22の29①)。
この場合、この雇用促進計画の達成状況の確認に関する手続は、厚生労働省の業務取扱要領にて示されており、連結親法人の事務所の所在地を管轄する公共職業安定所に、適用年度開始2ヶ月以内に雇用者の目標増加数を示した同計画の書類を提出し、適用年度終了後2ヶ月以内に適用年度の雇用者増加数などの要件を充足した内容を追記した同計画の書類を再度提出する必要がある。
また、この制度は、連結確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用することができる(措法68の15の3⑧)。この場合、控除される金額は、連結確定申告書等に添付された書類に記載された基準雇用者数を基礎として計算した金額に限るものとする(措法68の15の3⑧)。
② 地方拠点強化実施計画の雇用促進税制
連結法人が、適用年度(注1)において、下記[第1号]に掲げる要件を満たす場合、適用年度の連結法人税額から20万円(その連結法人が下記[第2号]に掲げる要件を満たす場合には50万円)に連結親法人及び各連結子法人(注2)の適用年度の地方事業所基準雇用者数(注3)の合計(注4)を乗じて計算した金額(地方事業所税額控除限度額)を控除する。
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