〈事例から理解する〉
税法上の不確定概念の具体的な判断基準
【第2回】
「財産評価基本通達の通達を事実上超えた規範性」
公認会計士・税理士 大橋 誠一
1 相続税法における財産評価の規定
相続税法は「財産の評価」という章立てがあるが、第22条から第26条の2までの7条文しかなく、これによって数多に存在する相続財産の評価体系を規律できるものではない。
とりわけ、評価の原則である第22条は「(略)相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、その財産の取得の時における時価により(略)」と概括的に規定しているのみであり、まずもって「時価」の定義を求めるところから始めなければならない。
2 国税不服審判所は通達の拘束を受けないのではないのか
国税不服審判所(審判所)のパンフレットである「審判所ってどんなところ?」の「国税不服審判所の特色」の項には、「国税庁長官通達に拘束されない裁決」という見出しがあるところ、財産評価基本通達(評価通達)も通達であるから、審判所は評価通達の拘束を受けずに裁決することができる。
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