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実務必須の
[重要税務判例]
【第52回】
「差押処分と共有者の原告適格事件」
~最判平成25年7月12日(集民244号43頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
差押処分と共有者の原告適格事件
最判平成25年7月12日(集民244号43頁)
《概要》
故Aには、妻X1、子X2及び子Bがいた。Aは、建物の敷地の全部と、敷地上の建物の持分2分の1(残りの持分はX1)を有していた。Aが死亡し、Aが有する敷地全部と建物持分につき、X1、X2及びBは、それぞれ法定相続分の割合で相続した(その結果、敷地については、X1が2分の1、X2とBが各4分の1の持分を、建物については、X1が4分の3、X2とBが各8分の1の持分を、それぞれ有することになった)。
Bは、当該相続に係る相続税を、納付の期限の経過後も納付せず、滞納を続けた。そのため、所轄の税務署長は、上記の敷地・建物のBの持分を差し押さえた(本件差押処分)。そこで、X1・X2が本件差押処分の取消しを求めて提訴したのが本件である。
《関係図》
▷争点
不動産の共有者は、滞納者である他の共有者の持分に対する差押処分の取消訴訟についての原告適格を有するか。
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