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実務必須の
[重要税務判例]
【第79回】
「千代田区宅地評価額事件」
~最判平成15年6月26日(民集57巻6号723頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
千代田区宅地評価額事件
最判平成15年6月26日(民集57巻6号723頁)
《概要》
Xは、東京都千代田区の宅地(本件土地)を所有していた。東京都知事が本件土地の平成6年度の価格を決定し、東京都千代田都税事務所長がこれを固定資産課税台帳に登録したところ、Xは、東京都固定資産評価審査委員会(Y)に対して審査の申出をした。Yは、本件土地の価格を減額する決定(本件決定)をしたが、Xは、なお不服があるとして、Yに対し、本件決定のうち平成5年度の価格を超える部分の取消を求めた。
最高裁は、本件決定により決定された本件土地の価格は適正な時価を超えており、本件決定は違法であるとして、当該適正な時価を超える部分を取り消すべきものとした原審の判断を支持した。
《関係図》
▷争点
固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が、同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合における、上記価格の決定の適否。
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