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実務必須の
[重要税務判例]
【第23回】
「岩瀬事件」
~最決平成15年6月13日、東京高判平成11年6月21日(高等裁判所民事判例集52巻26頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
岩瀬事件
(最決平成15年6月13日、東京高判平成11年6月21日(高等裁判所民事判例集52巻26頁))
《概要》
Xは、地上げ屋であるA社の要望に応じ、Xの所有地をA社に譲渡し、代替地をA社から購入することとした。その際、①Xはその所有地を7億3,000万円でA社に譲渡し、②A社は代替地(時価7億8,000万円)をXに4億3,000万円で譲渡し、③A社は①と②の相殺差金3億円をXに交付するものとされた。これを前提に、Xは、その所有地の譲渡価額を7億3,000万円として譲渡所得を計算し、所得税の確定申告をした。
しかし、Y税務署長は、上記①~③は不可分一体の補足金付交換契約だとした上、売買でなく交換であれば、Xの収入金額は、代替地の時価に相当する金額と上記相殺差金の合計額となるから、譲渡所得の金額に誤りがあるとして、Xに対し更正処分を行った。
そこで、Xがこの更正処分を争ったのが本件である。
高裁はXの主張を認め、最高裁はY税務署長の上告を受理しなかった。
《関係図》
▷争点
X所有地の譲渡の対価をいくらとみるべきか。
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