公開日: 2021/12/23 (掲載号:No.450)
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谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第9回】「課税減免規定の解釈のあり方」-判例にみられる課税減免規定固有の問題の検討-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第9回】

「課税減免規定の解釈のあり方」

-判例にみられる課税減免規定固有の問題の検討-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回は、税法が定める課税減免規定の解釈について、その限定解釈の意義・性格及び射程を検討したが、今回は、その解釈のあり方について若干の判例を素材にして検討することにする。

なお、これまで「課税減免規定」という言葉を特に定義することなく用いてきたが、ここでその定義を述べておくと、課税減免規定とは、納税義務の成立に係る課税要件法の定める種々の法律要件のうち、非課税・経費控除・所得控除・税額控除・課税繰延べ等の措置による租税負担の軽減又は排除を定める規定をいう。それは、納税義務の成立を積極的に根拠づける法律要件(課税根拠要件ないし積極的課税要件)を定める規定に対して、納税義務の成立や租税負担の発生を阻害する法律要件(課税阻害要件ないし消極的課税要件)を定める規定である。租税特別措置法が定める租税優遇措置は勿論これに当たるが、所得税法・法人税法・消費税法・相続税法等のいわゆる「本法」が定める、各租税の基本構造を形成する措置(構造的措置)に係る規定の中にも課税減免規定に該当する規定がある。

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税法基本判例

【第9回】

「課税減免規定の解釈のあり方」

-判例にみられる課税減免規定固有の問題の検討-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前回は、税法が定める課税減免規定の解釈について、その限定解釈の意義・性格及び射程を検討したが、今回は、その解釈のあり方について若干の判例を素材にして検討することにする。

なお、これまで「課税減免規定」という言葉を特に定義することなく用いてきたが、ここでその定義を述べておくと、課税減免規定とは、納税義務の成立に係る課税要件法の定める種々の法律要件のうち、非課税・経費控除・所得控除・税額控除・課税繰延べ等の措置による租税負担の軽減又は排除を定める規定をいう。それは、納税義務の成立を積極的に根拠づける法律要件(課税根拠要件ないし積極的課税要件)を定める規定に対して、納税義務の成立や租税負担の発生を阻害する法律要件(課税阻害要件ないし消極的課税要件)を定める規定である。租税特別措置法が定める租税優遇措置は勿論これに当たるが、所得税法・法人税法・消費税法・相続税法等のいわゆる「本法」が定める、各租税の基本構造を形成する措置(構造的措置)に係る規定の中にも課税減免規定に該当する規定がある。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」

第1回~第20回

第21回~

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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