租税争訟レポート
【第43回】
「税理士に対する所得の秘匿行為を重加算税の賦課要件に該当すると判断した事例
(東京地方裁判所平成30年6月29日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
〈訴訟の概要〉
所得税更正処分等取消請求事件
東京地方裁判所平成30年6月29日判決
TAINSコード:Z888-2229
[原告]
不動産賃料収入のある個人
[被告]
国
《処分行政庁》
・西大寺税務署
[争点]
〔1〕 原告に「隠蔽又は仮装」の事実が認められるか[争点1]。
〔2〕 原告に「偽りその他不正の行為」が認められるか[争点2]。
[判決]
棄却(確定)
【事案の概要】
本件は、所有する不動産に係る賃料収入を得ていた原告が、西大寺税務署長から、平成27年3月6日、平成19年から平成25年分までの所得税についての更正処分及びこれらの所得税に係る重加算税の賦課決定処分を受けたことから、西大寺税務署長が所属する被告に対し、①平成19年から平成22年分までの所得税の各更正処分について、原告に「偽りその他不正の行為」(平成27年改正前の国税通則法70条4項)はなく、更正処分の除斥期間である3年を経過してされたものであり、違法であるとして、②平成19年から平成22年分までの所得税に係る重加算税の各賦課決定処分について、違法な更正処分を前提とし、かつ、重加算税の賦課要件(国税通則法68条1項)である「隠蔽又は仮装」の事実がないのにされた違法なものであるとして、③平成23年から平成25年分までの所得税に係る重加算税の各賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分について、「隠蔽又は仮装」の事実がないのにされた違法なものであるとして、それぞれ、その取消しを求める事案である。
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