公開日: 2023/10/12 (掲載号:No.539)
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租税争訟レポート 【第69回】「税理士損害賠償請求事件~賠償額制限条項適用の有無(福岡地方裁判所令和5年6月21日判決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第69回】

「税理士損害賠償請求事件~賠償額制限条項適用の有無
(福岡地方裁判所令和5年6月21日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

福岡地方裁判所令和5年6月21日判決
福岡地方裁判所令和2年(ワ)第2129号
損害賠償請求事件
TAINSコード:Z999-0182

[原告]

国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする株式会社

[被告]

原告の顧問税理士

[争点]

(1) 原告が「課税資産の譲渡等を行う事業者」に該当するか〔争点1〕

(2) 原告がベリーズ国に本店を置く株式会社であるA(Inc.)から受託したコンサルタント業務が輸出免税取引に該当するか〔争点2〕

(3) 被告の善管注意義務違反の有無〔争点3〕

(4) 原告に生じた損害の有無及び額並びに因果関係〔争点4〕

(5) 本件賠償額制限条項の適用の有無〔争点5〕

[判決]

一部認容・一部棄却(確定)

 

【事案の概要】

本件は、原告代表者が100%出資して平成27年2月16日に設立した、国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする資本金300万円の株式会社である原告が、税理士である被告に消費税及び法人税の申告に関する事務処理を委任し、被告の指導・助言に従って4事業年度にわたり消費税の申告をしたところ、課税事業者を選択した方が原告に有利であったのに免税事業者としたこと及び本則課税のままであった方が原告に有利であったのに簡易課税事業者を選択したことにより、納付する必要のない消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)を納めることになり、消費税等の還付を受けることができたのにこれを受けられなかったなどと主張して、被告に対し、民法415条の債務不履行又は同法709条の不法行為に基づき、損害賠償金合計605万3,951円及びこれに対する令和元年6月19日(催告日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

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【第69回】

「税理士損害賠償請求事件~賠償額制限条項適用の有無
(福岡地方裁判所令和5年6月21日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

福岡地方裁判所令和5年6月21日判決
福岡地方裁判所令和2年(ワ)第2129号
損害賠償請求事件
TAINSコード:Z999-0182

[原告]

国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする株式会社

[被告]

原告の顧問税理士

[争点]

(1) 原告が「課税資産の譲渡等を行う事業者」に該当するか〔争点1〕

(2) 原告がベリーズ国に本店を置く株式会社であるA(Inc.)から受託したコンサルタント業務が輸出免税取引に該当するか〔争点2〕

(3) 被告の善管注意義務違反の有無〔争点3〕

(4) 原告に生じた損害の有無及び額並びに因果関係〔争点4〕

(5) 本件賠償額制限条項の適用の有無〔争点5〕

[判決]

一部認容・一部棄却(確定)

 

【事案の概要】

本件は、原告代表者が100%出資して平成27年2月16日に設立した、国内外の企業に対する経営コンサルティング事業、遊漁船の経営等を目的とする資本金300万円の株式会社である原告が、税理士である被告に消費税及び法人税の申告に関する事務処理を委任し、被告の指導・助言に従って4事業年度にわたり消費税の申告をしたところ、課税事業者を選択した方が原告に有利であったのに免税事業者としたこと及び本則課税のままであった方が原告に有利であったのに簡易課税事業者を選択したことにより、納付する必要のない消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)を納めることになり、消費税等の還付を受けることができたのにこれを受けられなかったなどと主張して、被告に対し、民法415条の債務不履行又は同法709条の不法行為に基づき、損害賠償金合計605万3,951円及びこれに対する令和元年6月19日(催告日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第30回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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