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実務必須の
[重要税務判例]
【第68回】
「砂利採取業者事件」
~最決平成16年1月20日(刑集58巻1号26頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
砂利採取業者事件
最決平成16年1月20日(刑集58巻1号26頁)
《概要》
砂利採取業者X社は、売上除外等の方法により多額の法人税を逋脱していた。これにつき、国税局査察部は内偵調査を開始していたが、これを察知したX社は、税理士を通じ、管轄の税務署に対し、事情を説明して修正申告の可否等について相談した。これを受けて、税務署は税務調査を実施することとし、当該税理士を通じてその旨通知した上でこれを実施して、X社から関係資料を預かった。税務調査後、担当の統括調査官は、国税局査察部に対し、税務調査の実施を連絡した上で、一部資料をFAX送付した。その後、国税局査察部は、当初予定していた強制捜査を繰り上げて実施した。
X社は逋脱罪で起訴された。X社は、税務調査のための質問検査権が犯則調査のための手段として利用されているから、質問検査権の行使は旧法人税法156条に反して違法であり、これによって獲得された証拠等は違法収集証拠として証拠能力を欠くので、その結果X社は無罪となる旨主張した。しかし、最高裁は、当該主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
法人税法上の質問検査権の行使により収集された証拠資料が、後の犯則事件の証拠として利用された場合、当該質問検査権の行使は、旧法人税法156条に違反することとなるか。
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