公開日: 2021/04/01 (掲載号:No.413)
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租税争訟レポート 【第54回】「税理士に対する損害賠償請求事件(東京地方裁判所令和2年7月30日判決)」

筆者: 米澤 勝

租税争訟レポート

【第54回】

「税理士に対する損害賠償請求事件
(東京地方裁判所令和2年7月30日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

東京地方裁判所令和2年7月30日判決
平成29年(ワ)第28885号損害賠償等請求事件
TAINSコード:Z999-0176

[原告]

  • 金型の製造等を行う株式会社(原告会社)
  • 原告会社の代表取締役であったA(令和元年11月23日死亡)
  • 原告の関係者B(Aの妻、Aが代表取締役辞任後、代表取締役就任)
  • 同C(AとBの間の長女)
  • 同D(Cの夫)
  • 承継人(AとBの間の二女、Aの遺言により単独相続)

[被告]

  • 税理士兼公認会計士Y1
  • Y1が代表取締役を務めるコンサルティング会社(被告会社)
  • Y2(被告Y1の妻、被告会社の取締役)
  • Y3(被告Y1の父、被告会社の取締役)

[争点]

 原告会社と被告Y1及び被告会社との間

(1) 株価引き下げ業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無〔争点1-1〕

(2) 欠損金の繰戻還付支援につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無〔争点1-2〕

(3) 納税猶予支援業務につき、被告Y1による報酬の重複請求の有無、同被告の任務懈怠の有無、被告会社の善管注意義務違反の有無〔争点1-3〕

(4) 株式交換による組織再編業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無、被告会社の暴利行為の有無〔争点1-4〕

(5) 一般社団法人活用支援業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無、被告会社の債務不履行の有無〔争点1-5〕

(6) 地方税の還付支援業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点1-6〕

(7) ふるさと納税事務代行業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点1-7〕

 原告会社と被告Y1との間

顧問契約解除後の自動引落しにつき、被告Y1の不法行為の有無〔争点2〕

 承継人と被告Y1及び被告会社との間

遺言書作成支援業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点3〕

 原告会社と被告Y3及び被告Y2との間

被告Y3及び被告Y2の任務懈怠の有無〔争点4〕

[判決](一部抜粋)

一部認容・一部棄却

 被告らは、原告会社に対し、各自、1,404万4,760円を支払え。

 被告Y1及び被告会社は、原告会社に対し、各自、1,620万1,433円を支払え。

 被告Y1は、原告会社に対し、108万円を支払え。

 被告会社は、原告会社に対し、3,359万2,600円を支払え。

 原告会社のそのほかの請求及び承継人の請求をいずれも棄却する。

 

【事案の概要】

被告Y1は、原告会社の顧問税理士として税務申告業務等を行うとともに、コンサルティング業者である被告会社の代表取締役として、原告会社の事業承継等についてのコンサルティング業務等に携わっていた。

本件は、原告会社及び同原告の代表取締役であった亡A(以下「A」という)を相続した承継人(以下、原告会社と承継人をあわせて「原告ら」という)が、上記業務等に関し、被告Y1の詐欺による報酬の不正請求があったなどと主張して、被告らに対し、不法行為等に基づく損害金の支払を求める事案である。

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【第54回】

「税理士に対する損害賠償請求事件
(東京地方裁判所令和2年7月30日判決)」

 

税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝

 

【判決の概要】

東京地方裁判所令和2年7月30日判決
平成29年(ワ)第28885号損害賠償等請求事件
TAINSコード:Z999-0176

[原告]

  • 金型の製造等を行う株式会社(原告会社)
  • 原告会社の代表取締役であったA(令和元年11月23日死亡)
  • 原告の関係者B(Aの妻、Aが代表取締役辞任後、代表取締役就任)
  • 同C(AとBの間の長女)
  • 同D(Cの夫)
  • 承継人(AとBの間の二女、Aの遺言により単独相続)

[被告]

  • 税理士兼公認会計士Y1
  • Y1が代表取締役を務めるコンサルティング会社(被告会社)
  • Y2(被告Y1の妻、被告会社の取締役)
  • Y3(被告Y1の父、被告会社の取締役)

[争点]

 原告会社と被告Y1及び被告会社との間

(1) 株価引き下げ業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無〔争点1-1〕

(2) 欠損金の繰戻還付支援につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無〔争点1-2〕

(3) 納税猶予支援業務につき、被告Y1による報酬の重複請求の有無、同被告の任務懈怠の有無、被告会社の善管注意義務違反の有無〔争点1-3〕

(4) 株式交換による組織再編業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無、被告会社の暴利行為の有無〔争点1-4〕

(5) 一般社団法人活用支援業務につき、被告Y1による報酬の重複請求ないし詐取の有無、被告会社の債務不履行の有無〔争点1-5〕

(6) 地方税の還付支援業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点1-6〕

(7) ふるさと納税事務代行業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点1-7〕

 原告会社と被告Y1との間

顧問契約解除後の自動引落しにつき、被告Y1の不法行為の有無〔争点2〕

 承継人と被告Y1及び被告会社との間

遺言書作成支援業務につき、被告Y1による報酬の詐取の有無〔争点3〕

 原告会社と被告Y3及び被告Y2との間

被告Y3及び被告Y2の任務懈怠の有無〔争点4〕

[判決](一部抜粋)

一部認容・一部棄却

 被告らは、原告会社に対し、各自、1,404万4,760円を支払え。

 被告Y1及び被告会社は、原告会社に対し、各自、1,620万1,433円を支払え。

 被告Y1は、原告会社に対し、108万円を支払え。

 被告会社は、原告会社に対し、3,359万2,600円を支払え。

 原告会社のそのほかの請求及び承継人の請求をいずれも棄却する。

 

【事案の概要】

被告Y1は、原告会社の顧問税理士として税務申告業務等を行うとともに、コンサルティング業者である被告会社の代表取締役として、原告会社の事業承継等についてのコンサルティング業務等に携わっていた。

本件は、原告会社及び同原告の代表取締役であった亡A(以下「A」という)を相続した承継人(以下、原告会社と承継人をあわせて「原告ら」という)が、上記業務等に関し、被告Y1の詐欺による報酬の不正請求があったなどと主張して、被告らに対し、不法行為等に基づく損害金の支払を求める事案である。

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連載目次

租税争訟レポート

第1回~第60回

筆者紹介

米澤 勝

(よねざわ・まさる)

税理士・公認不正検査士(CFE)

1997年12月 税理士試験合格
1998年2月 富士通サポートアンドサービス株式会社(現社名:株式会社富士通エフサス)入社。経理部配属(税務、債権管理担当)
1998年6月 税理士登録(東京税理士会)
2007年4月 経理部からビジネスマネジメント本部へ異動。内部統制担当
2010年1月 株式会社富士通エフサス退職。税理士として開業(現在に至る)

【著書】

・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社・2019)

・『企業はなぜ、会計不正に手を染めたのか-「会計不正調査報告書」を読む-』(清文社・2014)

・「企業内不正発覚後の税務」『税務弘報』(中央経済社)2011年9月号から2012年4月号まで連載(全6回)

【寄稿】

・(インタビュー)「会計監査クライシスfile.4 不正は指摘できない」『企業会計』(2016年4月号、中央経済社)

・「不正をめぐる会計処理の考え方と実務ポイント」『旬刊経理情報』(2015年4月10日号、中央経済社)

【セミナー・講演等】

一般社団法人日本公認不正検査士協会主催
「会計不正の早期発見
――不正事例における発覚の経緯から考察する効果的な対策」2016年10月

公益財団法人日本監査役協会主催
情報連絡会「不正会計の早期発見手法――監査役の視点から」2016年6月

株式会社プロフェッションネットワーク主催
「企業の会計不正を斬る!――最新事例から学ぶ,その手口と防止策」2015年11月

 

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