事例でわかる[事業承継対策]
解決へのヒント
【第54回】
「従業員持株会の解散」
太陽グラントソントン税理士法人
(事業承継対策研究会)
パートナー 税理士 梶本 岳
相談内容
私はS社の総務部長Eです。当社には、20年程前に設立した従業員持株会があり、S社株式の40%を保有しています。
10年程前になりますが、業績不振で何年間も配当ができない年が続いたため、A社長の意向で、すべての従業員に従業員持株会からの退会を促し、S社から従業員持株会に仮払金を提供する形で退会精算(出資金の払戻し)を行っています。
従業員持株会はA社長の相続対策に必要との理由から解散せず、私と経理部長Fの2名が組合員として籍を残してS社株式を保有し続けています。私たちも出資金の大部分について払戻しを受けており、ほぼ名義貸しのような状態ではありますが、法律上はS社株式と多額の借入金を共有している状態になっているそうです。
現在、S社の業績は堅調で配当財源に困ることはありません。したがって、改めて従業員に出資してもらうことが現実的な解決策ではないかと考えています。ただし、一度は従業員に退会を促した手前、A社長は従業員に出資を要請することに難色を示しており、他に良い方法があれば従業員持株会を解散してしまいたい意向です。
A社長の相続対策に影響がないようにS社の仮払金を解消したうえで、従業員持株会を解散する良い方法はないでしょうか。
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