〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領
《有価証券》編
【第1回】
「売買目的有価証券」
公認会計士・税理士 前原 啓二
本連載の趣旨
「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小企業会計指針」とします)は、中小企業が計算書類の作成に当たり拠ることが望ましい会計処理等を示すもので、一定の水準を保ったものとされています。これに比べ簡単な会計処理をすることが適切と考えられる中小企業を対象に「中小企業の会計に関する基本要領」も公表されました。
しかし、これらは簡潔に文章で記載されており、概念的には理解できても、実際にはどのように会計処理するのかがわからないため、仕方なく法人税法の規定による決算処理を続けている中小企業が散見されます。
そこで、本連載では、実際の中小企業で行われている基本的かつ重要な会計処理の事例をテーマごとに選び出し、「中小企業会計指針」等に基づく会計処理の一例について数値例を用いて具体的に示して、実務上のモデルとなるように解説します。
連載の第5弾として、有価証券を取り上げます。このテーマの「中小企業会計指針」等に基づく会計処理は、取得原価により貸借対照表価額としていた旧来の会計処理とは異なります。
本連載が、「中小企業会計指針」等のより一層の普及、さらに、中小企業の経営実態の正確な把握や適切な経営管理への発展に、少しでもつながれば幸いです。
《有価証券》編のラインナップ
- 【第1回】 売買目的有価証券
- 【第2回】 満期保有目的の債券
- 【第3回】 その他有価証券
- 【第4回】 有価証券の減損
はじめに
「中小企業会計指針」では、有価証券は保有目的の観点から、①売買目的有価証券、②満期保有目的の債券、③子会社株式及び関連会社株式、④その他有価証券の4つに分類し、それぞれの分類に応じた貸借対照表価額とします。
今回は、①売買目的有価証券の貸借対照表価額及び会計処理をご紹介します。
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