公開日: 2014/09/04 (掲載号:No.84)
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〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《貸倒損失・貸倒引当金》編 【第2回】「貸倒損失」

筆者: 前原 啓二

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領

《貸倒損失・貸倒引当金》編

【第2回】

「貸倒損失」

 

公認会計士・税理士 前原 啓二

 

はじめに

前回ご紹介した有税引当となる貸倒引当金の繰入は、いずれその後の事業年度において、法人税法の規定する個別評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入又は貸倒損失に該当し、税務上も損金算入されます。

今回は、このように前期以前に有税引当された貸倒引当金が税務上も損金算入されるときの処理をご紹介します。

【設例2】

当社(資本金30,000,000円)では、当期(X2年4月1日~X3年3月31日)における新たな不良債権の発生はありませんでした。前期(X1年4月1日~X2年3月31日)に発生した不良債権の当期における状況は、次のとおりです。

債権先	債権金額	前期での不良債権事由	当期における状況 貸付先A社	貸付金 20,000,000円	X1年11月22日に、破産手続開始の申立て。	9,000,000円を回収して、X2年12月20日に破産手続終結の決定があった。 貸付先B社	貸付金 7,000,000円	X1年10月14日に、民事再生法の再生手続開始の申立て。	X2年10月1日に、再生計画認可の決定があり、4,000,000円が切捨て。残額の3,000,000円のうち、X3年3月31日の翌日から5年経過後に弁済される貸付金は3,000,000円(担保による取立て等の見込なし)。5年以内に弁済される貸付金は0円。 得意先C社	受取手形 120,000円	X1年8月31日に、手形交換所の取引停止処分。	X1年4月以前の売上分は回収済。X1年5月売上分を6月に手形で受け取って未回収。それ以後取引なし。 得意先D社	売掛金 100,000円	X1年6月以前の売上分は回収済。X1年7月~8月売上分未回収。X1年9月売上以後取引なし。	当期においても、未回収、取引なし。

前期末における貸借対照表上の貸倒引当金残高は下記のとおりです。

一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計上は、前期末と当期末とも行わないものとします。

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〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領

《貸倒損失・貸倒引当金》編

【第2回】

「貸倒損失」

 

公認会計士・税理士 前原 啓二

 

はじめに

前回ご紹介した有税引当となる貸倒引当金の繰入は、いずれその後の事業年度において、法人税法の規定する個別評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入又は貸倒損失に該当し、税務上も損金算入されます。

今回は、このように前期以前に有税引当された貸倒引当金が税務上も損金算入されるときの処理をご紹介します。

【設例2】

当社(資本金30,000,000円)では、当期(X2年4月1日~X3年3月31日)における新たな不良債権の発生はありませんでした。前期(X1年4月1日~X2年3月31日)に発生した不良債権の当期における状況は、次のとおりです。

債権先	債権金額	前期での不良債権事由	当期における状況 貸付先A社	貸付金 20,000,000円	X1年11月22日に、破産手続開始の申立て。	9,000,000円を回収して、X2年12月20日に破産手続終結の決定があった。 貸付先B社	貸付金 7,000,000円	X1年10月14日に、民事再生法の再生手続開始の申立て。	X2年10月1日に、再生計画認可の決定があり、4,000,000円が切捨て。残額の3,000,000円のうち、X3年3月31日の翌日から5年経過後に弁済される貸付金は3,000,000円(担保による取立て等の見込なし)。5年以内に弁済される貸付金は0円。 得意先C社	受取手形 120,000円	X1年8月31日に、手形交換所の取引停止処分。	X1年4月以前の売上分は回収済。X1年5月売上分を6月に手形で受け取って未回収。それ以後取引なし。 得意先D社	売掛金 100,000円	X1年6月以前の売上分は回収済。X1年7月~8月売上分未回収。X1年9月売上以後取引なし。	当期においても、未回収、取引なし。

前期末における貸借対照表上の貸倒引当金残高は下記のとおりです。

一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計上は、前期末と当期末とも行わないものとします。

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連載目次

〔事例で使える〕

中小企業会計指針・会計要領

《金銭債権-手形債権・電子記録債権》 編(全2回)

《金銭債務-社債》 編(全1回)

《繰延資産・資産除去債務-敷金》 編(全2回)

筆者紹介

前原 啓二

(まえはら・けいじ)

公認会計士・税理士

昭和60年 慶應義塾大学商学部卒業
昭和62年 監査法人中央会計事務所(後の中央青山監査法人)入社
平成 3 年 公認会計士登録
平成 5 年 クーパース・アンド・ライブランド(現プライスウォーターハウスクーパース)ロンドン事務所勤務
平成12年 前原会計事務所開設、米国公認会計士試験合格

現在、前原会計事務所代表
関西学院大学大学院経営戦略研究科客員教授
兵庫県社会福祉協議会経営相談室専門相談員

【著書等】
・『居住者の国外財産調書制度と外国税額控除』(清文社)
・『事例とチェックリストでよくわかる外国税額控除の申告実務』(清文社)
・『「中小企業の会計に関する指針」ガイドブック(平成20年版)』(共著)(清文社)
・『国際会計基準なるほどQ&A』(共著)(中央経済社)
・「関連会社・取引先支援をめぐる税務の問題―人的役務の提供」『月刊税理』2011年8月号(164項‐170項)(ぎょうせい)

 

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