公開日: 2014/09/11 (掲載号:No.85)
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〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《貸倒損失・貸倒引当金》編 【第3回】「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入」

筆者: 前原 啓二

〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領

《貸倒損失・貸倒引当金》編

【第3回】

「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入」

 

公認会計士・税理士 前原 啓二

 

はじめに

個別注記表の重要な会計方針において、貸倒引当金の計上基準として、「一般債権については法人税法の規定する貸倒実績率(法人税法の法定繰入率が貸倒実績率を超える場合には法定繰入率)により計上するほか、個々の債権の回収可能性を勘案して計上している」という記載を見ることがあります。

今回は、この「一般債権については法人税法の規定する貸倒実績率(法人税法の法定繰入率が貸倒実績率を超える場合には法定繰入率)により計上する」方法をご紹介します。

【設例3】

当社(資本金30,000,000円、製造業)では、当期(X3年4月1日~X4年3月31日)における新たな不良債権の発生はありませんでした。前期以前3年内年度(X0年4月1日~X3年3月31日)に発生した不良債権の各期における状況は、次のとおりです。

  • X0年度(X0年4月1日~X1年3月31日)・・・不良債権の発生なし
  • X1年度(X1年4月1日~X2年3月31日)・・・第1回【設例1】のとおり9,060,000円
  • X2年度(X2年4月1日~X3年3月31日)・・・第2回【設例2】のとおり9,143,702円

前期以前3年内年度の各期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額は、次のとおりです。

  • X0年度(X0年4月1日~X1年3月31日)・・・710,000,000円
  • X1年度(X1年4月1日~X2年3月31日)・・・670,000,000円
  • X2年度(X2年4月1日~X3年3月31日)・・・720,000,000円

当期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額は1,000,000,000円であり、内訳は次のとおりです。

  • 受取手形・・・300,000,000円
  • 売掛金・・・553,000,000円
  • 貸付金・・・150,000,000円(うち税法上の個別評価対象債権:B社3,000,000円)

期末における個別評価金銭債権の貸倒引当金残高は3,000,000円(B社貸付金に係るもの。法人税上、個別評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額に含められます)。
前期も貸倒引当金残高は、上記B社貸付金に係る個別評価金銭債権の貸倒引当金残高3,000,000円のみです。
当期末決算から一括評価金銭債権の貸倒引当金を、法人税法に規定する繰入限度額により計上することとします。

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〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領

《貸倒損失・貸倒引当金》編

【第3回】

「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金繰入」

 

公認会計士・税理士 前原 啓二

 

はじめに

個別注記表の重要な会計方針において、貸倒引当金の計上基準として、「一般債権については法人税法の規定する貸倒実績率(法人税法の法定繰入率が貸倒実績率を超える場合には法定繰入率)により計上するほか、個々の債権の回収可能性を勘案して計上している」という記載を見ることがあります。

今回は、この「一般債権については法人税法の規定する貸倒実績率(法人税法の法定繰入率が貸倒実績率を超える場合には法定繰入率)により計上する」方法をご紹介します。

【設例3】

当社(資本金30,000,000円、製造業)では、当期(X3年4月1日~X4年3月31日)における新たな不良債権の発生はありませんでした。前期以前3年内年度(X0年4月1日~X3年3月31日)に発生した不良債権の各期における状況は、次のとおりです。

  • X0年度(X0年4月1日~X1年3月31日)・・・不良債権の発生なし
  • X1年度(X1年4月1日~X2年3月31日)・・・第1回【設例1】のとおり9,060,000円
  • X2年度(X2年4月1日~X3年3月31日)・・・第2回【設例2】のとおり9,143,702円

前期以前3年内年度の各期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額は、次のとおりです。

  • X0年度(X0年4月1日~X1年3月31日)・・・710,000,000円
  • X1年度(X1年4月1日~X2年3月31日)・・・670,000,000円
  • X2年度(X2年4月1日~X3年3月31日)・・・720,000,000円

当期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額は1,000,000,000円であり、内訳は次のとおりです。

  • 受取手形・・・300,000,000円
  • 売掛金・・・553,000,000円
  • 貸付金・・・150,000,000円(うち税法上の個別評価対象債権:B社3,000,000円)

期末における個別評価金銭債権の貸倒引当金残高は3,000,000円(B社貸付金に係るもの。法人税上、個別評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額に含められます)。
前期も貸倒引当金残高は、上記B社貸付金に係る個別評価金銭債権の貸倒引当金残高3,000,000円のみです。
当期末決算から一括評価金銭債権の貸倒引当金を、法人税法に規定する繰入限度額により計上することとします。

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連載目次

〔事例で使える〕

中小企業会計指針・会計要領

《金銭債権-手形債権・電子記録債権》 編(全2回)

《金銭債務-社債》 編(全1回)

《繰延資産・資産除去債務-敷金》 編(全2回)

筆者紹介

前原 啓二

(まえはら・けいじ)

公認会計士・税理士

昭和60年 慶應義塾大学商学部卒業
昭和62年 監査法人中央会計事務所(後の中央青山監査法人)入社
平成 3 年 公認会計士登録
平成 5 年 クーパース・アンド・ライブランド(現プライスウォーターハウスクーパース)ロンドン事務所勤務
平成12年 前原会計事務所開設、米国公認会計士試験合格

現在、前原会計事務所代表
関西学院大学大学院経営戦略研究科客員教授
兵庫県社会福祉協議会経営相談室専門相談員

【著書等】
・『居住者の国外財産調書制度と外国税額控除』(清文社)
・『事例とチェックリストでよくわかる外国税額控除の申告実務』(清文社)
・『「中小企業の会計に関する指針」ガイドブック(平成20年版)』(共著)(清文社)
・『国際会計基準なるほどQ&A』(共著)(中央経済社)
・「関連会社・取引先支援をめぐる税務の問題―人的役務の提供」『月刊税理』2011年8月号(164項‐170項)(ぎょうせい)

 

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