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実務必須の
[重要税務判例]
【第95回】
「連帯納税義務事件」
~最判平成元年7月14日(最高裁判所裁判集民事157号403頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
連帯納税義務事件
最判平成元年7月14日(最高裁判所裁判集民事157号403頁)
《概要》
A社・B社は、飲食店を経営しており、改正前地方税法の料理飲食等消費税(料飲税)の特別徴収義務者として指定されていた。Cは、A社・B社の代表取締役であり、共同事業者として、両社の料飲税につき連帯納税義務者とされていた。
A社・B社が料飲税を滞納していたため、Y県の県税事務所長は、計4回にわたって、Cが納入すべき税額を決定し、Cに対し、その旨の決定通知書兼納入告知書を送達して賦課処分を行った。
一方、X社は、C所有の不動産につき抵当権の設定を受け、その旨の登記を経由した。なお、この抵当権の設定は、上記のうち3回目の賦課処分よりは後、4回目の賦課処分よりは先に行われた。その後、X社は、当該抵当権に基づき、上記不動産の競売の申立てを行い、競売開始決定がなされた。
競売手続において、Y県は、上記4回分の賦課処分に係る税額について交付要求を行った。これを受けて、裁判所は、上記4回分全てについてY県がX社に優先する、との前提で支払表を作成した。X社は、これを不服として、Y県に対し、配当異議請求訴訟を提起した。
最高裁は、抵当権の設定に後れた賦課処分に係る税額分については、X社が優先すると判断した。
《関係図》
▷争点
地方団体の徴収金につき連帯納入義務者があり、他方、当該連帯納入義務者に対する抵当権者がある場合、地方団体の徴収金と抵当権者の抵当権に係る被担保債権の優劣の基準となる「法定納期限等(地方税法14条の10、徴収金の法定納期限等と抵当権の設定の先後により決する)」は、どのように定められるか。
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