公開日: 2024/09/12 (掲載号:No.585)
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さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第100回】「国際興業管理事件」~最判令和3年3月11日(民集75巻3号418頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第100回】

「国際興業管理事件」

~最判令和3年3月11日(民集75巻3号418頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

国際興業管理事件

最判令和3年3月11日(民集75巻3号418頁)

《概要》

内国法人X社は、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度(本件連結事業年度)において、外国子会社A社(X社がその出資持分の全部を保有)から、資本剰余金及び利益剰余金を原資とする剰余金の配当を受けた(本件配当)。X社は、このうち資本剰余金を原資とする部分(本件資本配当)は法人税法24条1項3号(当時。以下同様)の資本の払戻しに、利益剰余金を原資とする部分(本件利益配当)は同法23条1項1号の剰余金の配当にそれぞれ該当するとして、本件連結事業年度の法人税の連結確定申告をした。

これに対し、Y´税務署長は、本件配当の全額が資本の払戻しに該当するとして、更正処分をした。そこで、X社は、国(Y)に対し、更正処分のうち申告額を超える部分の取消しを求める訴訟を提起した。

最高裁は、X社の主張を認めた。

▷争点

 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当は、その全体が法人税法24条1項3号の資本の払戻しに該当するか。

 法人税法施行令23条1項3号のうち、資本の払戻しがされた場合の、当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分は有効か。

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[重要税務判例]

【第100回】

「国際興業管理事件」

~最判令和3年3月11日(民集75巻3号418頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

国際興業管理事件

最判令和3年3月11日(民集75巻3号418頁)

《概要》

内国法人X社は、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度(本件連結事業年度)において、外国子会社A社(X社がその出資持分の全部を保有)から、資本剰余金及び利益剰余金を原資とする剰余金の配当を受けた(本件配当)。X社は、このうち資本剰余金を原資とする部分(本件資本配当)は法人税法24条1項3号(当時。以下同様)の資本の払戻しに、利益剰余金を原資とする部分(本件利益配当)は同法23条1項1号の剰余金の配当にそれぞれ該当するとして、本件連結事業年度の法人税の連結確定申告をした。

これに対し、Y´税務署長は、本件配当の全額が資本の払戻しに該当するとして、更正処分をした。そこで、X社は、国(Y)に対し、更正処分のうち申告額を超える部分の取消しを求める訴訟を提起した。

最高裁は、X社の主張を認めた。

▷争点

 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当は、その全体が法人税法24条1項3号の資本の払戻しに該当するか。

 法人税法施行令23条1項3号のうち、資本の払戻しがされた場合の、当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分は有効か。

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連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

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第1回~第90回

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

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