租税争訟レポート
【第35回】
「専ら従業員の慰安のために行われた「感謝の集い」に要した費用の交際費等該当性(福岡地方裁判所判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
福岡地方裁判所平成27年(行ウ)第15号
法人税更正処分等取消請求事件
(平成29年4月25日判決、国税庁訴資 Z888-2083)
[原告]
株式会社児湯食鳥
[被告]
国
処分行政庁:高鍋税務署
[争点]:各更正処分等の適法性
本件の福利厚生費は措置法61条の4第1項の「交際費等」に該当するか。
① 従業員全員を対象として慰安目的で支出される費用は、福利厚生費とし、同条項の「交際費等」には該当しないのか
② 「感謝の集い」行事に係る費用は、措置法61条の4第3項の「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」に該当するか
[判決]
一部却下、一部取消し
【事案の概要】
本件は、養鶏事業、食肉等食料品の販売事業等を営む原告が、原告の役員及び従業員並びに下請先である協力会社等の役員及び従業員合計1,000人程度が参加する「感謝の集い」を年に1回、大型リゾートホテルの宴会場で行っていたところ、熊本国税局調査課の税務調査において、「感謝の集い」に要した費用は交際費等に該当するとの指摘を受け、処分行政庁である高鍋税務署がその指摘に従った更正処分を行った。当該更正処分を不服とした原告は、異議申立、審査請求を経て、本件訴訟の提起に踏み切ったものである。
争点は、原告が福利厚生費とした「感謝の集い」に要した費用が、交際費等に該当するか否かである。
各事業年度における「感謝の集い」の参加者は約1,000人、参加率は71%から75%程度であり、1人当たりの費用は概ね2万円台前半であった。
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